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もっとも手間暇がかかる「本枯節(ほんがれぶし)」のできるまで
「生切り」から「カビ付け」まで、本枯節が出来上がるまで半年以上の月日が必要です。
- 生切り(なまぎり)
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先ず、生の鰹の頭を落とし、内臓を取り去ります。次に「身おろし」をして鰹を3枚におろします。 大きい鰹はさらに血合いの部分を境に背の部分と腹の部分に分けます。この作業は「合断(あいだち)」 と呼ばれています。この工程では3種類の包丁が必要になります。
- 籠立て(かごだて)
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「生切り」された鰹の身を金属製の籠の上に一つ一つ丁寧に並べる作業です。 この作業を乱雑に行うと形の良い鰹節はできません。単純ですが、神経を使う 作業です。
- 煮熟(しゃじゅく)
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「籠立て」された籠を10枚程度に重ねられ煮釜に入れます。 煮釜の中は90℃程度の湯が入っていて、鰹はその大きさに応じて1時間30分から2時間40分、煮熟されます。長時間煮ることにより、腐敗を防止すると同時にタンパク質を 完全に熱凝固させるので、鰹が固くしまります。
- 骨抜き(ほねぬき)
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「煮熟」が終わった鰹を水槽に入れ、「骨抜き」作業が行います。 ここで、皮の約2/3をはぎとると同時に皮下脂肪や汚れをとります。次に残っている 骨を取り去ります。この段階まできたものが皆様よくご存じの「なまり節」です。 出来上がった「なまり節」は再び籠に丁寧に並べられます。
- 焙乾(ばいかん)
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「なまり節」を燻し、乾燥させる工程です。カシ、ナラ、クヌギ等の堅木を燃やして 煙と熱を「なまり節」にあてて、節の内部の水分を飛ばします。一度「焙乾」をすると節の 表面から水分が抜けていきます。これではまだ節の内部に水分が相当量残っています。 そこで節を常温で一晩冷やし、節内部の水分を表面に出させます。この工程は 「あん蒸」と呼ばれています。節の大きさに応じて「焙乾」と「あん蒸」を6回から15回程度 繰り返しこの工程が終了する頃には、節の水分は20%以下にまで減少します。 「焙乾」により、節に香りが与えられ、脂肪分の酸化防止、防腐の効果があります。 この工程で節は何回も燻されるので、この段階の節の表面にはタールが厚く付着しています。 この状態の節は「荒節(あらぶし)」と呼ばれ、一般的に市販されている「花かつお」の原料になります。
- 削り(けずり)
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出来上がった「荒節」は1日程度天日で干され、その後冷暗所に数日放置されます。 そして表面に湿気が帯びてきたら、表面のタール分を削り取る作業が始まります。 この「削り」は鰹節の形を整える作業でもありますから、製造家の技が試される重要な 工程です。タールが削られた節の表面は赤褐色を呈します。この状態の節は 「裸節(はだかぶし)」と呼ばれています。江戸時代前期、カビ付けの技法が考案される前は、 鰹節と言えばこの「裸節」のことでした。
- カビ付け
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やっと「本枯節」への最終工程まできました。この工程を経て鰹節の水分量は 15%以下になり、素晴らしい保存食となります。 まず、「裸節」を数日間天日で干します。この作業は「日乾」と呼ばれています。 次にカビが発生しやすい「むろ」と呼ばれる部屋に「裸節」を入れ、カビが付くの を待ちます。最初に発生したカビは「一番カビ」と呼ばれ、カビがついたところで 「むろ」から取り出し、2日程度天日で干した後、カビを払い落とします。そして 再び節を「むろ」にいれ、「カビ付け」と「日乾」の作業を時間をかけて数回 繰り返します。4回ほどこの作業を繰り返すと、鰹節内部の水分は15%以下になり カビがもう付かない状態になります。この状態で「本枯節」は完成です。
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昭和40年代までは、鰹節になる鰹と言えば黒潮に乗り日本近海まで回遊してきて 一本釣りされた、鮮度、魚質ともに理想的な近海の鰹でした。お刺身用の鰹の需要が拡大に 伴い近海の鰹の相場が高騰し、現在では、多くの鰹節は遠洋漁業による、漁獲の後に凍結 されて日本まで運ばれてきた鰹から製造されています。
・近海日本近海で一本釣された鰹に水氷をかけて港に着くまで鮮度を保ちます。 近海ですから一本釣されたその日のうちに陸揚げされます。近海の魚は程よい 脂肪分があり、鰹節製造には理想的な魚質と鮮度を保持しています。・南方一本釣
南方沖で一本釣された直後に、一尾ずつ急速冷凍して船内に保管します。南の海は 水温が高いので、鰹の脂肪分が近海物より少ないのが特長です。巻網物に比べ 良好な鮮度が保たれています。また、凍結方法の違いにより、一本釣りの鰹から製造された鰹節は巻き網で製造された鰹節よりも旨味成分である イノシン酸を多く含んでいます。・巻網
南方沖で巻網船とタグボートにより仕掛けられた大がかりな網で 一度に50トンから100トン程度漁獲され、まとめて急速冷凍して船内に保管します。 一本釣は海面近くを回遊してる鰹のみを漁獲するのに対して巻網の場合は水深 200メートル付近を回遊している鰹も漁獲します。巻網の鰹は一本釣の鰹に比べ、 魚質や鮮度にバラツキがあり、総じて品質的に劣ります。
鰹節の製造方法は地域や時代により変遷してきました。現存する本節の製造方法 を二種類とカビ付けの技法について紹介します。また、本節と亀節、背節と腹節、 それぞれの違いを説明します。
・改良型と薩摩型「改良型本節」は昭和5年に焼津地区の製造方法を基本に制定された標準型の 鰹節をさします。冒頭に書いてある鰹節の製造工程はこの「改良型」の製造工程です。 それに対して、「薩摩型本節」は枕崎地区で古来から用いられている製造方法により 仕上げられた本節です。「改良型」では、前述の様に、鰹を煮熟した後に皮をはぎ骨を 取るのに対して、「薩摩型」は生の状態で鰹の皮をはぎ骨を取り除いた後に煮熟します。 ですから、鮮度が抜群に良い鰹と卓越した製造技術が薩摩型本節の製造には必要です。 節の形状的には頭の部分に特長があります。現在、薩摩型本節を製造することが できる現役の職人は数名しかいません。・枯節(かれぶし)と裸節(はだかぶし)
現在一般的に流通している本節や亀節(総称で「仕上節」と呼んでいます)は、 カビ付け工程を3回から5回施した節です。このように、カビ付けをした節は 「枯節」と呼びます。カビ付けの技法は元禄期以降に考案されたと言われています。 ですから江戸時代前期の仕上節はカビの全く付いていない裸節でした。海上輸送で 流通していた当時、裸節の最大の問題点は節の劣化でした。長時間の輸送中に 悪性のカビが発生したり、節の酸化により味や香りが劣化します。そこで考案されたのが、 優良カビを節に付着させるカビ付けの技法です。優良なカビは鰹節内部の水分を取り除き 節を枯れさせ保存性を向上させます。また、鰹節が含んでいる脂肪分を分解し、 香りを劣化させる成分を取り除くと同時により良い香りを鰹節に付けます。 その結果、枯節は裸節に比べまろやかな味と香りを醸し出すことができるのです。 一方、裸節は枯節に比べて味、香りともに鮮烈です。ですから枯節の味や香り では物足りないと感じる方も多々いらっしゃると思います。私個人としては、だしを とるなら枯節、食べるなら裸節の方がおいしいと思います。現在は輸送技術や 保存技術の向上により、良い魚質の鰹から丁寧に製造された裸節を、品質を劣化 させることなく流通させることができるようになりました。味や香りの好みで 枯節と裸節を使い分けてみてはいかがでしょうか。・本節と亀節 背節と腹節
4Kg程度以上の鰹が本節に製造され、それ以下の鰹が亀節にとなります。「生切り」の 工程で、鰹を三枚におろしただけで製造される節が亀節、三枚におろした後、さらに血合の部分を境に 背の部分(背節)と腹の部分(腹節)に分けて製造する節が本節です。本節と亀節は原魚の大きさの違いだけで 味や香りは(同じ鰹で製造すれば)変わりません。亀節はその形状から扱いやすいのですが、大きい 花の削節にはなりません。
背節は腹節に比べ脂肪分が少ないのできれいに削れます。脂肪分の多い腹節は削ったときに 粉になりやすいのですが、だしに深いコクがでます。
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生活様式の変化で、ご自分で仕上節を削って鰹節を使う方が激減し、多くの方が 削り節を使っています。削り節の歴史はまだ浅く、明治末期に、削り節製造機が 考案され、製造が開始されました
・削り節の酸化と正しい保存法鰹節自体は極めて酸化しにくいのですが、鰹節を削った削り節は放置しておくと すぐに酸化を始めます。削りたてから30分程すると酸化が始まり24時間で相当 酸化が進むと言われています。酸化した鰹節は色がくすみ香りが飛んでしまいます。 包装技術が進み、「削りたて」とほぼ遜色がない状態で品質を維持しながら、 削り節を流通させることができる気密包装を施すのですが、やはり「削りたて」にはかないません。 気密包装をしてある削り節を開封したら、削り節は保存食ではなく生もの同様に お考えください。開封後は冷凍庫に保存すれば、削り節の劣化が一番緩やかです。 削り節は腐らなければ問題ないとお考えの方が多々いらっしゃいます。確かに 腐らなければ使って問題はないのですが、風味は、もはや鰹節ではありせん。 是非とも削り節は「生もの」とお考えください。
・削り節の原料
鰹節はその製造段階で「荒節(あらぶし)」「裸節(はだかぶし)」「枯節(かれぶし)」へと呼び名が変わります。どの 段階の鰹節を削っても削り節になるのですが、市販されている削り節の殆どは 「荒節」を原料にしています。多くの方が鰹節と言えば思い浮かべる本節や亀節を原料にした 削り節は殆ど市販されていません。「荒節」を原料に使う一番の理由は、その価格の 安さにあります。枯節から比べれば荒節は半製品ですし、削り節原料用に製造される荒節は より簡素化された工程で大量に製造されます。価格的には一本一本丁寧に製造される 本枯の仕上節の1/3前後になります。玄人、素人を問わず、鰹節にこだわる方は 「削りたて」にこだわりますので、面倒くさがらずにご自分で必要な時に必要な量だけ本節や亀節を削ります。ですから、 本枯の仕上節を原料にした削り節の需要はあまりないのも現実的なところです。 また、削り節の創生期の削り節製造機では世界で一番堅い食品と言われてる本枯節を効率よく削れる機械がなかったので、 削り節の原料は荒節が一般的になったと思われます。現在では、削り節製造機械の 性能は飛躍的によくなり、本枯節も、荒節ほどではないのですが、効率よく削ることができるように なりました。また、包装技術の進歩により、「削りたて」に近い風味を保持できるように なりました。仕上節を自分で削るのが面倒な方にも、是非一度、本節や亀節を 原料にした本物の削り節をご賞味頂き、本当の鰹節の風味を味わっていただきたいと 思います。
・薄削りと厚削り
削り節には薄く削ってある(花かつおのタイプ)と厚く削ってあるものがあります。薄削りは0.03ミリ から0.06ミリ程度の薄さに削り、厚削りは0.5ミリから1ミリ程度に削ります。 薄削りはだしに味と香りの両方を求めるときに使います。一般的な飲食店様や ご家庭ではこの薄削りをつかいます。よく、「薄削りは薄く削ってあればあるほど 良い」と言われますが、極端に薄く削ってある薄削りは食べる鰹節(うどんや お好み焼きの上にのせたりします)でだしは薄くなります。厚削りは濃厚なだしを とるときに用いられます(香りは重視しません)。関東のおそばやさんは厚削りで 濃厚なだしをとります。なお、厚削りは弱火で40分以上煮つめてだしをとります。
鰹のように脂肪が少ない赤身の魚を鰹節の製造工程と同様に加工すると、様々な 節類が出来上がります。それぞれの節はそれぞれの違う風味を醸し出します。それらを 使い分けたり組み合わせることにより、だしのバリエーションは無限に広がっていきます。
・鮪節キハダまぐろの幼魚を原魚に製造されます。関東では「めじ節」、関西では「しび節」 と呼ばれています。節類の中ではもっとも生産量が少なく、特にまぐろの仕上節は稀少です。 主に中部から関西にかけて消費されています。まぐろ節からは、透明感のある、 ほんのりとした甘みのある上品なだしがでます。ですから、吸い物だしにはよく使われます。 まぐろ節はその味の特長から、素材が本来もっている味を生かして料理ができますので、 まぐろ節をベースのだしに用いている料理人が多々います。 また、まぐろ節は口に入れると淡泊な味わいに甘みが加わるので、糸状や細かい削り節に加工され、 食べる鰹節として多数の飲食店様で使われています。
・宗田節主にマル宗田鰹から宗田節は製造されます。「目近節」とも呼ばれ、主な生産地は 高知県の土佐清水です。宗田節は鰹節より血合いが多いので、味、色ともに濃厚な だしがでます。おそばやさんはもりそばのつゆのだしに宗田節をよく使います。 おでんや煮物のように濃い味が求められる料理にも適しています。
・鯖節ゴマサバと呼ばれている脂肪分が少ない鯖を原魚に製造されます。鯖節からの香りは少ないのですが、 甘みのある濃厚なだしがでます。おそば屋さんはかけそばのつゆのだしに鯖節をよく使います。 宗田節同様、濃い味が求められる料理に適しています。
・鯵節
ムロアジを原魚に製造された節です。九州が主な産地です。中部地区ではうどんのだしを 中心によく利用されています。あじ節のだしはやや黄色みがかっており、味は 鯖節よりもさっぱりしています。
・鰯節
カタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシを原魚にいわし節は製造されます。 いわし節は主に関西で使用されています。くせのない独特な甘みをもっただしがとれ、 主に麺類、煮物、味噌汁に用いられます。
弊店オススメの鰹節です
薩摩本節 | 鰹荒仕上節の削り節 | 鰹荒節の削り節 | とろける本枯節の削り節 |