鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > なぜ、中野さんを困らせてまで杜仲茶をうりたいのか?


タイトル


はじめまして。因島杜仲焙煎抹茶( 杜仲抹茶) でお世話になっている、マリンバボンゴの佐藤です。中野さんから、「伏高で杜仲抹茶を売るにあたりお客様に挨拶をせぇ」と、厳命を受け、本日お手紙をお届けしています。
 
え、美味しくないの?

 杜仲抹茶をぺろっと舐めた中野さんに笑顔は浮かびません。眉間のシワが、「美味くも不味くもないなぁ」、「健康食品を扱わないのは知ってるでしょ、ごめん…」と、訴えてきました。

 味に自信があった私は、そんな表情になるとはまったく思ってもいませんでした。「お、美味いね。何これ?」と、中野さんからお墨付きをもらえると思っていたのです。「う~ん、困ったぁ...」という反応に動揺しながらも、それでも諦めずに杜仲抹茶のことを中野さんにお願いし続けることができたのは、ある想いがあったからです...
 
存続の危機に立ち向かい、
みがかれてきた因島杜仲の茶葉


 杜仲抹茶は、杜仲という薬木の葉を茶葉にし抹茶仕立てにしたもの。



お茶として飲めるのはもちろん、そのまま食べることができるのが特徴ですが、そもそも杜仲の葉に興味をもったのは「肌は内 臓の鏡」という言葉をいつも意識していたからです。

 私は、化粧品の開発・販売を仕事にしていますが、やはり内臓の一つひとつが健康でなければ、きれいな肌も生まれません。「何か役立ちそうな食材がないだろうか」と、調べているうちに、杜仲の葉に含まれている滋養が内臓の健康に役立ち、肌のハリ・ツヤを保つのにも役立つとわかったのです。

 そして、その滋養を摂る方法は、杜仲の葉を茶葉に加工しお茶として飲むのが一般的だと知りました。私も最初は健康茶としてしか考えていませんでした。

 とは言え、毎日飲むものです。国内で販売されている杜仲茶は95%が輸入した杜仲の葉を使用していると聞き、できるだけ美味しく飲めて安全性の面でも信頼できるものがほしいと思いました。そこで、純国産の「因島杜仲茶」をつくっている尾道の製茶会社を訪ねることにしたのです。



「瀬戸内海に浮かぶ因島で育つ杜仲」を想像し、浮かんだイメージにも強く惹かれて行ったのですが、実際に訪ねてみたら、想像もしていなかった「因島杜仲の茶葉の魅力」を知ることに。

 迎えてくれた溝口さんは、日本茶の伝道師としても活躍し海外でも講演などを行っている方でした。色々な話をする中で、なぜ、杜仲茶を始めたのかズバッと聞いてみました。

 とても長い話になるので、ぎゅっと縮めます…

「熊本の相良に400年続く茶農家で、ずっと日本茶に携わってきたのですが、健康のことを考えると、無農薬でノンカフェインの美味しいお茶もあったらいいなぁと、ずっと思い続けていました。そうしたら、尾道の近くの因島で杜仲茶の生産が始まったんです」。

「ピンと来ました。杜仲は無農薬で栽培できるし、杜仲の葉はノンカフェインだと知っていたので。すぐ普及に協力しました。ところが、ようやく広まり始めた頃、その因島の杜仲茶が存続の危機にさらされるできごとが起きてしまったんです。それを見過ごすことができなくて…」。



 溝口さんは、因島で育てられていた杜仲の葉を全て買い取る契約をし、いっそう美味しく飲めるお茶にするために熟成方法・焙煎方法などの改良を続けてきたそうです。

「あれから25年近く経ったかなぁ」と、しみじみと語る表情は、渋くて男前。因島のような海に浮かぶ島で育つお茶は珍しく、他の産地の杜仲茶よりも甘味が強いのが特徴なので、その特徴が引き立つように味をみがいてきたという話を聞きながら、まず、茶葉を煮出して飲む「因島杜仲茶」をいただきました。
 
あ、いい香り♪

 一口含んでみると、ほうじ茶のような香ばしさとともにすっきりとした甘味を感じます。紅茶のような旨みがあり、ちょっとクセのある杜仲の味は隠し味になっている感じ。

「美味しい、これが杜仲茶?」と、思わず聞き返してしまいました。正直、健康茶レベルでの美味しさ程度しか期待していなかったので、その味わいの深さにびっくりしてしまったのです。

 すると、「まだ商品化を迷っているのですが、これも味見してください!」と、茶色い微粉が運ばれてきました。それが、因島杜仲の茶葉を抹茶にした「杜仲抹茶」でした。

「5kg挽くのに8時間はかかってるんです」と、溝口さん。緑茶の抹茶と同じように、茎などを取り除いた茶葉を丁寧に挽いてつくってあるそう。煮出してお茶として味わえるのはもちろん、そのまま食べることもできると聞いて、期待に胸がふくらみました。

 初めていただく杜仲抹茶は、湯の量を極少量にする「濃茶」のように練っていただきました。



 茶葉そのものを味わうような飲み方なので、煮出して飲む因島杜仲茶よりも香ばしさがぐんと強くなっています。滋養を感じる独特の風味と抹茶の舌触りは好き嫌いが分かれると感じましたが、私にとってはクセになる美味。滋養を丸ごと余さず摂れるのも嬉しい。

「もしかしたら、これって、お菓子や飲み物にも新しい味わいと価値を与えられるかも。ハチミツや三温糖、ミルクを加えてもすごく美味しいかも。チャイにしたり、アイスクリームや小豆にも合いそう…」と、心の中で自問自答しながら何度も口に運んでいたら、タイミングよく杜仲抹茶を混ぜた生キャラメルが登場。



 よくワインと料理のマリアージュと言いますが、まさにそれ。よいところが和合して生まれた美味に心をがっちりつかまれてしまったのです。
 
この新しい味わいを
日本のお茶文化の中で広めたい


 溝口さんがみがいてきた味を余さず味わい、私の杜仲茶の価値観がガラリと変わりました。健康や美容のためにと思っていたのですが、ただの健康茶ではなく、「日本のお茶文化の中で親しまれるお茶として広めたい」と、思ったのです。

 私は、その場で杜仲抹茶を商品化したいとお願いしました。

 すぐに決心したのは、杜仲茶と真摯に向き合ってきた方々の歴史・経験がつくりだした「新しい味わいと価値」に触れ、これを一緒に広めていくことを想像しワクワクしたからです。私のこれからの人生を精神的により豊かにしてくれると感じました。



 そう感じたのは、「まっとうな食材を世に残したい」という中野さんの影響もありましたし、中野さんならわかってくれると思いました...

 残念ながら、甘いものが苦手な中野さんと「杜仲抹茶生キャラメル」の味わいを共感することはできませんでしたが、私の想いをぶつけ続け、とうとう伏高の味を愛する皆様に、「因島杜仲焙煎抹茶」をご紹介させていただくことができました。

 中野さんを困らせてまで知ってほしいと思った「新しい味わい」を楽しんでいただけることを、心から願っています。
 

 
追伸.初めての一杯は、「杜仲抹茶ティー」を淹れてみてください。







因島杜仲焙煎抹茶
¥2,160/40g

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