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素麺を食べると頭の中から涼しくなる
「暑さも忘れる素麺効果」のお話
蒸し暑い季節になると無性に素麺が食べたくなりませんか?
不思議な物で、「うどん」ではなく「素麺」なんです。日本農林規格(JAS)の定めるところによれば、うどんと素麺の違いは麺の太さだけ。
1.7ミリ以上がうどんで1.3ミリ以下が素麺です。ちなみに、1.3ミリ~1.7ミリの麺が冷麦。「太さが違うだけなのに、
夏になると素麺が恋しくなるのは何でだろう?」と、テツ&トモばりの素朴な疑問を抱いておりました。
素朴な疑問への強い味方は、やっぱり、日本放送協会さん。
受信料を徴収しているだけのことはあります。
これは偏見かも知れませんが、民放さんは健康に良いという結論にならないと、なかなか素朴な疑問に答えてくれないようで・・・。何はともあれ2001年8月1日
放送のNHK番組「ためしてガッテン」がそんな疑問に答えてくれました。
暑さも忘れる素麺効果
番組では室温34度の状態でうどんを食べた人と
素麺を食べた人の脳波をそれぞれ食前食後に測定する実験を行いました。室温34度ですから不快指数は多分85以上、暑くてたまらない状態のはずです。
うどんを食べた人は食前も食後も不快を示す脳波の状態がずっと続き変化なし。
一方、素麺を食べた人は、食前は不快を示す脳波の状態でしたが、食後はα派が増大し
リラックスした状態になったことが示されました。つまるところ、素麺を食べると暑さを忘れストレスがなくなる事が示されたのでございます。
素麺とうどんの違いは本当に太さだけでしょうか?
番組ではMRIを使ってうどんと素麺の内部に含まれる水分を測定しました。
うどんの外側は80%~90%の水分を含む柔らかい部分であるのに対し、内部は50%~60%の
水分率と硬めの部分になっています。外側が柔らかく内側が硬いというこの差がうどん独特の食感、モチモチ感、を生み出します。
一方、素麺は外側も内側も60%~70%の水分率で硬さの差がありません。ここがうどんと素麺の食感の違いの由来です。
モチモチ感があるうどんに対し、素麺は歯切れ良くプツンと噛み切れます。そして、この歯切れの良さ、プッツン感、が
爽快感につながり、暑さを忘れるそうめん効果が現れ、夏になると素麺が恋しくなるのでございます。
なぜ、茹で上がった素麺の水分量は少ないのでしょうか?
その秘密は素麺の表面に塗られている油にあります。製造途中で素麺が乾燥してしまわないよう、
生地に食用油を塗ってから素麺の手延べを始めます。出来上がった素麺を倉庫に寝かせ熟成させます。
その過程で、表面の油が分解され脂肪酸に変化にします。この脂肪酸の働きで、素麺を茹でた際に
水を含みにくくなります。結果として、硬めに茹であがりますので歯切れの良くなりプッツン感が増して、
暑さを忘れる素麺効果が発揮されます。
手延べだからプッツン感が強くなります。
うどんや素麺の作り方には「手打ち」と「手延べ」があります。
「手打ち」は生地を平たく延ばしてから包丁で細い麺に切り分けるため、麺に弾力を与える物質グルテンを
一緒に切ってしまいます。「手延べ」は、生地を紐状に延ばし、縒りをかけながらさらに細い麺に仕上げていくため、
グルテンも束になって延ばされます。束ねられたグルテンにより強いコシのある、そして、プッツン感が
強い歯切れの良い素麺となるのです。
夏本番です。冷房や冷たい飲み物ばかりに頼るのも
・・・体に毒というものです。
先人の知恵は素晴らしい。「暑さも忘れる素麺効果」、
電気がなくても涼しくなります。