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実生の柚子(みしょうのゆず)をご存じですか?
ユズ
ミカン科の常緑樹。柑橘類の1つ。ホンユズとも呼ばれ、果実は比較的大きく、果皮の表面はでこぼこしている。消費・生産ともに日本が最大である。柑橘類の中では耐寒性が強く、極東でも自生出来る数少ない種である。酸味は強く香りもある。日本では東北以南で広く栽培されている常緑小高木である。花言葉は"健康美"と言われる。また、柑橘類に多いそうか病、かいよう病への耐久があるためほとんど消毒の必要がなく、他の柑橘類より手が掛からない事、無農薬栽培が比較的簡単にできる事も特徴のひとつである。 (Wikipediaより)
桃栗3年柿8年と申しますが、柚子の実がなるまで何年くらいかかるかご存じですか?
柚子の木を植えてから、実を収穫できるまで、15年から20年もかかるそうな。ちなみに、世間では、「桃栗3年、柿8年、梅はすいすい13年、柚子は大バカ18年、りんごニコニコ25年、 女房の不作は60年、亭主の不作はこれまた一生、あーこりゃこりゃ」なんぞと言うらしい。
「亭主の不作はこれまた一生」とは、なんとも耳の痛い話でありますが、ここは話を柚子に戻させてください。植えてから収穫まで18年もかかるのでは、農家さんも時間がかかりすぎて商売になりません。そこで、一般的に出回っている柚子は「接ぎ木」という方法を使って、4~5年で収穫されています。多くはカラタチの木に柚子の枝をくっつけて育てています。不勉強なので、カラタチと柚子を、どのように切ってくっつけるのかを、具体的には説明はできませんが、要は、カラタチの木を通して、柚子に栄養を送り込み成長をさせ、時間を短縮しているのであります。
さて、これからが本題、実生の柚子の話です。実生の柚子とは、接ぎ木で育てた柚子ではなく、種から育ち、18年もの歳月をかけて大きくなった木に、やっと実った柚子であります。
言うなれば、実生の柚子は100%柚子の遺伝子が作りだした野生の柚子。
一方の接ぎ木の柚子は、カラタチなどの台木の影響を受けた柚子。
両者の違いは、口に入れると一目瞭然。
実生の柚子の方が、断然、香り高く、味も濃いのであります。
とまあ、偉そうに能書きを垂れましたが、実は、私も実生の柚子の存在を知ったのは今年の2月。お台場で行われた展示会で出会いました。弊店では、5年ほど前から柑橘果汁を期間限定で販売しています。保存料を一切使っていない柑橘果汁を条件に、すだち、だいだい、かぼすと扱い品目を増やして参りました。こうなると次は柚子を売りたいじゃないですか。そこで、食品の展示会がある度に、柚子果汁を探していたのですが・・・保存料(塩)を使っている果汁ばかり。やっと見つけた100%柚子果汁の製品の中に、たまたま実生の柚子を搾ったモノがあったのです。
先ほどから私が書いている能書きは、すべて柚子果汁メーカーさんの受け売りなんですが、風味の違いは、やっぱり自分で確かめなければいけません。10月の終わりに、メーカーさんと初商談。メーカーさん、実生の柚子の果汁と接ぎ木の柚子の果汁の両方を持ってきてくれました。で、早速、味比べ。いやー、驚きました。味見をした瞬間に、風味の違いを鮮明に感じてしまったんですから。実生の柚子の方が、断然、香りが高くて味が濃い。まさに能書き通り。この瞬間、値段は高いのですが、実生柚子の果汁を販売する事に心を決めたのであります。
てな経過で、今シーズンから実生の柚子を搾った果汁、高知県のさめうらフーズさんの製品「とんがりゆず」を販売する事になりました。香り高い柚子果汁、ぜひ一度、お試しください。
築地仲卸 | 伏高 | 三代目店主 |