鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2006 17

春はまだ浅きといった日々が続きます。先日、田舎から岩海苔を送ってきました。 桐の化粧箱に入った高級そうな海苔でしたが、とんと忘れていました。 ところがテレビ番組(田舎を食べよう! 決定! ふるさとグルメ大賞)で 大賞に輝いた島根の甘鯛の炊き込みご飯にこの海苔が登場。

島根県平田市の北端、日本海に突き出す十六島鼻と呼ばれる岬周辺で、「シマゴ」と呼ばれる特定の人達によって、 荒れ狂う波の中、足場の悪い岩場で海苔を指に巻き付けて摘み取っているのをレポーターが取材していました。

その映像を見ていて、ひょっとしてと戸棚を探して、桐箱のふたを開けると、「十六島のカモジ海苔」の文字。 翌日、早速、甘鯛の干物で代用した炊き込みご飯を作ってみました。十六島海苔を炊きあがった御飯に散らし、 しばらく蒸すと、えもいわれぬ香りが部屋中にたちこめてきます。

「これは旨い」とすっかり忘れていたお礼の電話を田舎の妹に。我ながら現金な奴です。 妹は笑いながら、「ほんの、お裾分けだから・・・ところで、『ばばあ鍋』って食べたことある?」 もちろん知りませんでした。

なんでも鳥取県の東部岩美町の名物料理だそうで、 地元で『ばばちゃん』と呼ぶ深海魚の鍋だそうです。冬の松葉ガニ漁の網に少量ですがかかり、 全体がぬるぬるとした、体調1メートル程のグロテスクな外観だそうです。同じ深海魚の鮟鱇をスリムにした感じです。

「白身の全然クセのない味、ひょっとして鮟鱇より美味しいかも」との妹の言葉に、 私、図々しく「送ってくれよ、その魚」妹「無理だぜ、ちょっとしか水揚げないだけえ」とつれない返事で電話を切られた。

幻の料理と聞けば余計に食べたくなる。 インターネットで調べて、岩美町の魚販売所に電話をすると「そんなもん今はあらへんが、 とれるのは2月半ばまでだがな、ハハハ」と笑われた。逃した魚が恨めしい。今年の暮れまでお預けとなった。

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