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バルサミコとバルサミコ酢
は似て非なるモノです

 

私、新商品を仕入れるにあたり、
必ず製造元を訪ね、話を聞き、
製造現場を見ることにしております。

今年(2023年)の6月からワインビネガー
の取り扱いを始めたので、今年は
2回、山梨県山梨市にある
アサヤ食品さんに伺いました。

9月にはビネガーの原料である
ブドウを搾る工程から見せていただける
ビネガーツアーに参加して参りました。

 

左から、絞りたてのフドウジュース、アルコール発酵2週間のワイン、出来たてのワインビネガーです
ビネガーツアーに行ってきました。左から、絞りたてのフドウジュース、アルコール発酵2週間のワイン、出来たてのワインビネガーです。

 

ビネガーツアーには座学もあり
杉山社長さんに、ワインビネガーの事、
色々と教えていただきましたが・・・

バルサミコに関する私の知識は
相当に間違っていたことが判明しました。

やっぱり、雑誌やネット等で
見聞きする情報と現場で
プロの話を聞くのは大違いです。

それまでのバルサミコに
関して私が持っていた知識は、

(1)赤ワインビネガーとブドウ
   ジュースを木樽に入れて
   長期熟成させた酢であり、

(2)それも北イタリアの特定の
   地域で作られたモノだけが
   バルサミコを名乗れる。

(3)だから同じような製法で
   作っても日本産はバルサミコ
   とは名乗れない。

以上の3点でした。
でも、真実はかなり違っていたのです。

イタリア食材にはDOP認証
という制度が有ります。

DOPは日本語に訳すと
「保護指定原産地表示」あるいは
「原産地名称保護」となるそうな。

で、正真正銘の伝統的バルサミコとは、
このDOP認証を受けたモノ
だけなんですって。

伝統的バルサミコの定義は明確で

(1)原材料はモデナあるいは
   エミリア地方で生産される
   特定のブドウ(ランブルスコ、
   サンジョヴェーゼ、トレッビアーノ、
   アルバナ、アンセロッタ、
   フォルタナ、モントゥニ)のみ、

(2)そのブドウを搾汁し煮詰めたモノ
   (モスト・コットと呼ばれてます)を、

(3)特定の材質(オーク、
   セイヨウネズ、栗、桜、
   トネリコ、桑)の木樽に入れ、

(4)そこに酵母菌を加えアルコール
   発酵させた後、酢酸菌を加え
   酢酸発酵をさせ12年
   あるいは25年熟成、

(5)こうして出来上がった
   バルサミコをモデナ
   バルサミコ酢協会仕様の
   ガラス瓶100mlに入れ、

(4)モデナバルサミコ酢協会仕様
   の豪華な紙箱に入れて完成した
   製品だけがバルサミコDOPを
   名乗れるのです。

この正真正銘の伝統的バルサミコを
ネットで探したのですが、
100mlで安いモノで1万円、
高いモノで4万円程度してました。

スーパの棚にバルサミコって
書いてある商品が売られている
じゃないですか?

アレは何者って話ですが、

業界では「バルサミコ酢」と
呼ばれているジャンルの商品で
バルサミコDOPとは
似て非なるモノであります。

バルサミコ酢には厳格な定義はありません。

煮詰めたブドウジュースと
ワインビネガーをブレンドし
樽で熟成させれば「バルサミコ酢」と
名乗って問題無いようです。

原料にワインビネガーそのものを
使うので、本場イタリアでは

「バルサミコ酢はワインビネガーの最高峰」

と言われるそうです。

イタリアでは酸度6と決められてますが
ブドウや樽の種類、熟成年数に
決まりはないので

バルサミコ酢はピンキリであります。

我が家の食卓に置いてある
バルサミコ酢は安物。
だから、さほど甘くないので、
以前はドレッシング代わりに使ってました。

ちなみに、国内外に流通している
「バルサミミコと書いてある製品」
の98%は、こちらのバルサミコ酢で、

正真正銘バルサミコDOPは極々わずか。

もちろん、私は口にしたことがありません。

一度は味見をしてみたいけど、
100mlに一万円以上出す
気持ちに、なかなかなれる
もんじゃーありゃしない。

かくしてアサヤ食品さんで、
正しいバルサミコの知識を
教えていただいた後に、

アサヤ食品さんが
ワインビネガー専門メーカとして
誠心誠意「ワインビネガーの最高峰」
を目指し作っている「バルサミコ酢」の
味見をさせていただきました。

アサヤ食品さんは、毎年、このバルサミコ酢を1千本だけの限定で製造しています。

聞けば、山梨産のシャインマスカット、
巨峰、甲斐路、甲州、ロザリオビアンコ、
ブラッククイーン、デラウエアなど

甘く濃厚な味わいの20品種あまりを
原材料使った5年以上熟成させた
ワインビネガーとフドウジュースを
イタリアの製法をリスペクトして
イタリア製の木樽7種類に入れ、

6年熟成させた後、それらを
ブレンドして出来上がったそうな。

そのバルサミコ酢100mlは
20Kgの山梨県産のブドウから
作られているんですって。

わざわざイタリアから輸入した7種類の木樽でバルサミコ酢を6年間、熟成させています


小さいスプーン1杯分を口に入れると
すーっとブドウの香りが立ち
直後、優しい酸味そして凝縮された
ブドウの甘みと豊かな樽の香りが
口中に広がりました。

辛党の私でも、心底、旨い、心地よい
と感じる味に感動したのであります。

思わず

「コレ、ウチで売りたいんですけど・・・」

とお願いしたのですが

毎年、1千本だけの限定製造だから
ほぼ常連さんが買ってしまうので
「卸せません」と断られてしまった。

私が相当、ガッカリしてた風に見えたのでしょう

杉山社長さん

「白バルサミコ酢なら、なんとか卸売りを検討します」

とおっしゃってくれた。

白いバルサミコがあるなんて、
正直、知りませんでしたが、

「白バルサミコ酢、売ってください」

と即座にお願いしたのであります。


ってな訳で、白バルサミコ酢、

今年は限定200本で販売

させていただきます。

アサヤ食品さんの白バルサミコ酢は
食材の色を変えること無く
軽やかで使いやすいバルサミコ酢で、

日本では、ほぼ作られていないとの事

 


白バルサミコ酢
¥2,700/150ml

ワインビネガー専門メーカとしての
夢を追いかけて、50年の歳月を
かけて完成した純国産バルサミコ酢を

ぜひ一度、 味わってください。

築地仲卸 伏高 三代目店主 中野 克彦

海のだしお試しセット

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