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japan(ジャパン)とは
漆器の事なり

 

なーんてご存じでしたか?

 

japan n.1 漆.2 漆器.vt.1 ・・・に漆を塗る.2 漆でつやをつける. a.1 漆(塗り)の.漆器の

Japan n.1 日本                      (研究社 新英和辞典より引用)

 

今から6500年前の縄文時代、現在の福井県鳥浜遺跡にて出土された器物に塗られた物が、現存する最も古い漆器とされています。

何を隠そうこの私、今年(2015年)のお正月
漆器をテーマにしたテレビ番組で
この事実を生まれて初めて知りました。

西洋人は中国の陶器を高く評価していたので
英語で陶器の事をchinaと呼ぶようになった。

同様に、日本製の漆器が西洋人からの評価が
極めて高かったのでjapanと
言われるようになったそうな。

番組内では、長年、輪島塗の職人として活躍している英国人女性が登場し、

「世界的に評価が高い日本の漆器を
 高いからとか、扱いにくいからの理由で
 どうして日本人は使わなくなったの?」

と嘆いていました。

これって、どこかで聞いたような話じゃないですか。

そうです、弊店で扱っている鰹節などの絶滅危惧種の
「真っ当な食材」と同じ状況なのであります。

 

27年前、父の友人の漆器屋さんから
結婚のお祝いに漆器のお椀をいただきました。それも

「このお椀はお客さん用じゃなく、普段の食卓で使って下さい
 良い器は毎日使ってこそ、その価値が発揮されるのです」

こんなメッセージ付き。

そして、そのお椀で初めて味噌汁を飲んだ時
器が熱くならないし、軽くて持ちやすいので驚いた記憶が鮮明に残っています。

そして何より味噌汁が旨い(新婚のせいもあったかも?)。

ただ、日々使っていると
それが当たり前になり感動も薄れてしまった。

時は流れて銀婚式を迎える頃
そのお椀、とうとう割れてしまったのです。

その後、カミさんの実家にあったお椀(これも漆器)
を使っていたのですが、やっぱり何かが違う。

そんな事を感じている所に、さっきのテレビ番組。

 

きちんと使ってさえいれば、漆器は10年以上、使えます。実際、私は結婚のお祝いにいただいた漆器のお椀で、25年間、毎日の様に味噌汁を飲んでいました。

英国人女性の言葉に

「25年も使えば、ひとつも高くないじゃん」と同意しつつ

今年は、「味噌汁が旨くなるお椀」を扱いたい
と思った次第であります。

 

でも、父の友人の漆器屋さんは相当前にお亡くなりになり、
鰹節屋の私に、漆器屋さんへのツテはなし。

「味噌汁が旨くなるお椀」を
どうやって探そうかと思案してたら・・・

灯台下暗し。

たまたま道で出会った築地小学校の同級生に
こんな話をしたところ

「お前、隣の店が漆器屋じゃねぇか!!!」

と教えてもい、道が開けたのであります。

 

つきじ屋さんの生業は、本来、漆器の卸売。でも時代の変化と共に、食器全般、料理道具、厨房設備まで扱っています。

弊店の左隣に「つきじ屋」さんという
食器や料理道具を扱っている店が4年前に越してきました。

よくよく考えたら、つきじ屋さんは、元来、
漆器が専門で、長らく築地で商売されているんですよ。

今時は、漆器だけでは商売にならないので
食器全般や料理道具を扱っているんです。

 

つきじ屋の御主人、佐藤さんは、お爺さんから親子孫3代に渡り、魚河岸で漆器屋さんを営んでらっしゃいます。

で、早速、小学校の後輩である隣の御主人に、
ここまでの事情を話して
「味噌汁が旨くなるお椀」の推薦をお願いしました。

 

その際、

  • 日常の食卓で使うお椀だから、芸術品じゃない、
    でも、きちんと作ってある漆器。

  • カタログに載せて販売するので、定番で安定的に製造している漆器

この2点を念押ししました。

 

2週間後、福井県鯖江市で千五百年前から製造されている
越前塗の汁椀が届きました。

 

越前塗の汁椀、仕上げ塗りをしています。埃が表面に付着すると、塗り直しになるので、静かに一人で作業をします。

越前塗は、飲食店向け漆器需要の過半を
担っている産地でして、

飽きのこない丈夫な器
との定評がある産地です。

ですから

普段使いの「味噌汁が旨くなる漆器」には最適と
判断し、私に推薦していただいたようです。

 

隣の御主人、越前塗の汁椀を2種類、選んでくれました。

 

右はスタンダードなお椀、左が千鳥形のお椀です。

違いは形状。

スタンダードなお椀と
千鳥形と呼ばれる、縁が外側に反っているお椀。

 

見た目はスタンダードな形の方が良いかなと思ったのですが
実際に使ってみると・・・

千鳥型のお椀に口をつけた時
唇が千鳥の形に自然にフィットして
その感触が、すごーく心地良い。

やっぱり、こちらの方が味噌汁が旨く感じます。

てな訳で、越前塗の千鳥汁椀を黒と朱の2色
仕入れることにしました。

ちなみに、千鳥形も明治時代から作られている伝統的なお椀の形です。

 

一個9千円近いお椀は高いかもしれません。

 

千鳥汁椀(黒) 千鳥汁椀(朱)

でも10年、いや20年も使えて
毎日の味噌汁が旨くなるなら、決して高いとは思いません。

世界に冠たる純国産の漆器
より美味しくて、より楽しい食卓を囲んでください。

 

  中野 克彦
築地仲卸  伏高
 三代目店主 

海のだしお試しセット

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