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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2012 20

明けましておめでとう御座居ます。どうなる事やらと、心休まる間もない昨年でしたが、なんとか乗り越えられましたのも皆様のお陰です。改めて御礼申し上げます。

 

昨年の帰省は、大雪に翻弄され、散々な目にあったから、今年は取り止めにしようかと思ったが、独り暮らしの親父を想えば、哀れで、妹夫婦と姪っ子に京都に連れ出してもらった。京都で合流後、彦根に移動。何で彦根なのか、ひとえに私の我が儘からだ。日本の国宝の城は四城。松本、犬山、姫路とここ彦根城。彦根城だけが未制覇だった。

 

部屋の窓から、真正面に外濠と佐和口多聞櫓、その後の山に天守を望む、絶好のロケーションの彦根キャッスルホテルに泊まる。早速、登城。でっかい門松がお出迎え。天守に向かう急な石段におじけづいた親父は、麓の彦根城博物館で待機。天秤櫓には、しめ縄。正月気分が盛り上がる。太鼓門櫓をくぐり、いよいよ天守とご対面。三層三階の惚れ惚れとする姿。絶品。最上階に向かうが、62度の急傾斜の階段はひやひやもの。窓から遠く琵琶湖を眺めて、本望を達成した喜びに浸る。

 

翌日、京都に移動して、駅から3分の旅館へ。チェックインまで時間があるが、荷物を預かってくれる。実に愛想がいい。駅前のバス停は初詣に向かう人でごった返す。なんとかタクシーをつかまえ、近くの三十三間堂へ。堂内は観光客と初詣客で前に進まない。千体の仏像以上の人の波が百メートル続く。祈願すると二阡円。正月三ケ日で幾らの稼ぎになるのかと罰当たりな考えが一瞬、頭をよぎる。

 

翌日は、満杯の京都を脱出して奈良に。近鉄特急が便利で早い。奈良駅からタクシーで法隆寺へ。人混みもなく、ゆっくり歩ける。まったりした時と空間に身を浸す。美大を目指す姪っ子がいたく気に入り、宝蔵館からなかなか出て来ない。グラフィック志望と聞いたが、文化財修復師の道も悪くないかも。

 

翌日の宇治の平等院も、姪っ子の希望。JR奈良線で三十分。途中、稲荷駅でごっそり客が下車。伏見稲荷大社の初詣客でした。宇治駅に到着。参道を歩いて向かう。親父も何とか歩くが、そろそれ限界か。さすが世界遺産。まさに両翼を拡げた鳳凰の如き鳳凰堂に圧倒される。約千年前に建立された木造建築が、よくぞ残ったものだ。奇跡としか思えない。宝物館で創建当時をCG再現した画像に見入る姪っ子。完全に虜になる。

 

京都に戻り時間があったが、おやじ限界。カラオケ店に飛び込み、ガンガン歌う側で寝入る。駅で別れ三時間後、実家に電話すると、「また宜しく」と、全く懲りてない。

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