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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2007 18

ここひと月近く、昼飯を蕎麦ときめて、築地周辺の立ち食い蕎麦屋さんを廻っています。以前は。こってりした昼定食をたっぷりとって、二時半に帰宅。しばらくして夕飯となり、その夕食がなかなか進みません。その内、日本酒が効いてきてバタンキュー。夜中に目が醒め、夕食の残りを平らげて、再び夢の中。こんな生活を続けていれば、当然、身体に変化が現れます。

 

この前、まざまざと現実を突きつけられました。しばらくぶりに見えた御婦人客に「あんた、太ったでしょう。顔が変っちゃて、誰だか判らなかったわよ」とヅシンと一発。おなかとあごと二重にメタボ状態じゃ、人違いされる訳です。こんな食生活を変えようと、昼を一食抜こうとはしたものの、キツくて、せめてカロリー低めの蕎麦でいこうと一念発起したのです。

 

しかしながら、鰹節屋の私が立ち食い店の蕎麦・うどんは大して好きではないのです。生魚が嫌いな寿司屋さんみないな話ですが、うどんとお好み焼きで育った鳥取から大学に通うため上京して、まず立ち食い店で食べた、真っ黒なつゆに沈んだうどんと蕎麦に打ちのめされました。その時のトラウマから逃れられず、思いこみの激しい気性が禍して、ずっと、立ち食い店の前を素通りしてました。

 

しかし、思い切って入ってみると、意外や意外、早い・安い・旨いの三拍子。今時の立ち食い蕎麦屋さんは『安い』だけが謳い文句ではなくなったんです。店前ののぼり旗に書かれた『生めん、ゆでたて、つゆが自慢』の言葉通り、つゆが美味しい。店内でずらっと横並びで黙々と食べる目の前の壁に但し書きが書いてあります。当店は蕎麦のつなぎに山芋使用。ダシは化学調味料ゼロで、本節、宗田節、鯖節からとってますと。ふむふむ、増々好感度アップ。

 

蕎麦通の方々には「何言ってんだ」と笑われそうですが、毎日食べる昼食として、立ち食い蕎麦を見直しました。おまけに野口英世先生一枚だった昼食代が、ワンコイン、いや、サンマルで収まります。

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