鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2017 28

先月最後の水曜市場休みの日、春の陽気。インターネットで桜の開花情報で、上野恩賜公園の桜は三分咲きと有る。その日の早朝、生ゴミを出したとき、ゴミ置場の頭上のオオシマ桜が満開だと気付く、こりゃ吉兆。  

さあ上野へ。いつもの不忍池端コースではなく、公園前交番脇の広場から向かう。広場のしだれ桜は、花盛り。回りには大群衆。ほとんどアジア系。桜をバックに写真を撮るのに必死の形相。やっと人混みをすり抜け、さくら通りを登って行く。しかし、沿道の桜は三分咲きどころか、一分咲き。陽の当たる枝だけ満開。その枝の桜を写そうと外国人が殺到。花見の宴会可能なエリアに入る。ブルーシートの上で宴会するグループがパラパラ。場所取り要員がスマホに見入っている。笑えるのは、ダンボールのテーブルの上に、桜の花をつけた盆栽が一つ。頭上の桜は寂しい限りなので、ご愛嬌だ。さらに進んで大噴水のある大広場に出る。左手に上野動物園方面、そこに子供連れの大行列。やっと気がついた、学校は春休み真っ最中だと。やばい、急げ。

花見は二の次。上野に来たのは、国立科学博物館の特別展「大英自然博物館展」を見る為だった。世界最初に発見された始祖鳥の化石など至宝約三百七十点がやって来たのだ。西洋美術館脇の道の先を見ると行列はない。しめたと思ったが、入口に着くと、係員から整理券を配布してますと言われる。整理券に書かれた時間に入場となりますと。チケット売場の先には、時間待ちの大勢の人達。何時間待たねばならないのか、がっかり。春休みを忘れていたとは。テンションがだだ下がり、国立博物館の「茶の湯」展も、東京芸大の「雪村」展も気乗りせず、即帰宅する。

帰宅途中、地下鉄のキオスクで買った雑誌「クロワッサン」を読む。うちのやつ、「野口先生が出てるわと」と、黒ネコに手渡す。「野口日出子さんが信頼する街の豆腐屋さんの丁寧な仕事を見に行く」のタイトルの四ページの記事。野口先生は、我伏高の大お得意様です。NHKの「きょうの料理」の常連講師の一人。自由が丘で料理教室を。教室から、大好きな豆腐を求めて私鉄を四駅先へ、わざわざ電車に乗って足繁く通うお豆腐屋さんの話なのだ。

何につけても、徹底的に調べて追いかけて、食べ比べする野口先生。鮮魚しかり、卵しかり、豆腐しかり。そして野口先生のコメント「鰹節もそうでした。四十年前、築地に有る五軒の鰹節屋さんに、毎週のように通って、ひたすら鰹節を食べ比べをしてました。食べ比べはもう、私の趣味」とのたまう。伏高の「別製削り」の名前は出ませんでしたが、四十年も前に、伏高の鰹節を選んで下さったいきさつを知り、感謝感激雨あられです。

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