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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2017 31

先月の最終日曜日、銀座の出光美術館へ向かう。開館五十周年記念「古唐津」展を見学するのだ。バス停に向かう。やって来たバスが「築地」行きの表示。えっ!!どうなってるのと話しているうちにバスは出発してしまう。停留所の貼り紙をよく見ると、「東京マラソンの交通規制」の表示。全路線が築地終点となっていた。次にやって来たバスも築地行き。これに乗るしかない。築地で下り、銀座へ向かう。  

銀座中央通りをカラフルな大勢のランナーが走っている。もちろん渡れないから地下道へ降りて数寄屋橋口から地上に出る。出光美術館は、皇居のお堀前の帝国劇場の九階なのだが、その手前の丸の内仲通りに、又もやランナーの姿が。又、地下に降りて有楽町線の地下道を進む。

やっと美術館に到着して九階へ。外の喧噪から一転、静寂の世界へ。桃山時代の九州で朝鮮人陶工によって始められた「古唐津」。ぼてっとした土くさい庶民的な陶器なのですが、これが京、大阪の茶人や戦国大名に愛されたそうです。茶碗、水指、花生、和食器の源流とも言える向付、懐石の食器、硯や水滴などの文房具等が薄暗い展示室に整然と並ぶのは壮観です。

会場を一巡して、皇居が一望できる休憩室に座る。無料のお茶でひと息。外はマラソン日和、日比谷公園の脇をランナーの波が延々と続く。館内の一角には茶室。仙厓の掛け軸と茶道具が展示。もう一方の室は陶片室。日本をはじめアジア各地の遺跡や窯跡から出土した貴重な陶片資料を展示してある。金持ち風の中国人一団が熱心に撮影している。

ところで、古唐津焼、人気が高く、高額で、しかも、その作風が精緻な技術を伴わず、すぐ真似されるので、贋作が多いらしい。去年の暮、テレビ東京の人気番組「なんでも鑑定団」で思わぬ大騒動が。徳島のラーメン屋さんが鑑定依頼した品が、中島先生「国宝になっていたかもしれない大名品です!!」と二千五百万円の値が付いた。世界に3点しかないとされる中国の陶器「曜変天目茶碗」の「四点目」だと。曜変天目の再現を試みる陶芸家の九代目は「お土産品レベルの曜変紛いの物」とキッパリ。大炎上。テレビ東京と所有者はノーコメントと打ち切りになった。

その先の有楽町無印良品の店、MUJI BOOKS。二階に上がると龍が駆け昇るような本棚が、一階から三階まで、その商品に関連する本が、各売り場に陳列されてある。料理本の棚で立ち止まるうちのやつ、早速お買い上げ。家中、料理本だらけ。料理の腕はさっぱり上がらぬのに。

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