鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2015 10 23

築地場外に建設中の新市場は着々と進行中。伏高の前の波除け通りに新市場の二カ所の施設を結ぶ鉄橋が、頭上高くどかんと出現した。二つの施設を合わせて、九十三区画の店舗に、鮮魚、野菜等が、豊洲の新市場の仲卸から荷が運ばれる予定です。朝一番はプロの買い出し人のため。日中、午後は一般の人の買い物。夕方から夜にかけては、屋上の飲食ゾーンで築地の食を楽しむと謳ってますが、出来てみないと、どれ程プロの御眼鏡に適うやら見当はつきません。規模も品揃えも、豊洲市場より格段に下回るはずですから。

ところで、先月のシルバーウィークは好天に恵まれ、日中は汗ばむほどの暑さ。九月のこの日まで、家に仕事を持ち込んだうちのやつに付き合って、ずっと外出ままならず、やっと外出。とりあえず上野公園へ。全国大陶器市が開催中。毎年のことなので、掘り出し物は期待してませんでした。案の定、気に入った品は、すでに、自宅の戸棚にあるものばかり。豆皿三枚九百円で買い物終了。しかし、久し振りの外出。緑の下を歩くと生気を取り戻した気分。

翌日は、ずっと訪れたかった旧古河庭園へ出発。月島から有楽町線で飯田橋へ。途中下車して神楽坂散歩をちょい足し。予めPCで、おすすめスポットを検索してた赤城神社へ。名建築家の設計で、現代風に再建された。すっきりとすがすがしい。これからは、こういう神社もありかなと感心する。境内にはお洒落なカフェも併設。店外のメニューには、ほろ酔いセットとある。「駄目よ、真っ昼間から」と退散。坂道を上がり切り、早稲田通りを左折してからしばらく歩くと、旧新潮社の倉庫をさっきの赤城神社の設計者、隈研吾が、こちらも設計して、セレクトショップ「LA・KAGU」へ改造。昭和の建築の味を残して現代風に。ウッドデッキと大階段にはぎょっとさせられる。外のカフェは満席。中に入ると、ファッション、食器等の雑貨、家具、もちろん本も、元倉庫の大空間に並ぶ。センスはいいが、値札を見て声も出ない。何とか手の届く、檀一雄の「美味放浪記」、小島政二郎の「食いしん坊」と、レジでうちのやつがそっと追加した料理本を買う。

飯田橋駅に戻り、南北線で駒込で下車。歩いて十分、古河庭園へ。目玉のバラ園は満開はまだ先で、花はポツリ。しても一面のバラ園を想像してたので、こじんまりしたバラ庭にがっかり。日本庭園も、池はあぶくで淀み葉陰は濃く、陰気が漂う。洋館に戻る。黒ずんだ石造りの外壁を見て、「監獄みたい」とうちのやつ。売店で売っているバラアイスを食べながら、「湯島の岩崎邸の方がかっこいいわ」と。

翌日、再び、がっかりした口直しに浜離宮へ。かなりの人で。しかし広大な庭園なので気にならない。「やっぱ、いいわね、この広さ、明るさ、さすがは将軍様のお庭」とにこにこ。萩、コスモス、彼岸花で秋日和を大満喫。

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