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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2015 21

痛風が、私を襲った。朝方、右足の親指の付け根の外側が赤く膨れて、シクシクする。どこかにぶつけたのだろうと、スニーカーの靴紐をもぎ取り、ぶかぶかの右靴で出勤。骨折という程の痛みでもないが歩きづらい。隣の伊勢龍の由香ねぇに、消毒液を所望する。由美ちゃんがマキロン液を塗ってくれた。由香ねぇ、にやにやしながら「傷口もないのに腫れるって、変じゃない?」とスマホで何やら検索始める。  

「あった、あったわよ!!」とスマホの画面を黒ネコに見せる。写真は、痛風発作の症状例が並ぶ。まさしく、右親指の付け根が赤く腫れ上がっている。私の症状ソックリ。ゲェーツ!! 由香ねぇの三社祭仲間は痛風持ちだらけ、しかも男だけ。痛風発作の九〇%は、右足の親指の付け根から発病すると、さんざ、痛風談義を聞かされていたので、由香ねぇ、ピーンときたのだ。

「これで決まり!! さっさと病院行きなさい。ほっとくと象の足みたく腫れて、一歩も歩けなくなるから。わかったわね!!」。証拠写真を突き付けられ、病院恐怖症の私も腹を括って、近くの築地クリニックに参りました。

広い待合室には、来客はまばら。しかも築地で働く人ばかり。すぐに名前を呼ばれ、内科の診察室へ。先生、患部を見るなり、「痛風でしょう」と一分で終了。血液検査室へ。血液を三本採取。女性看護士さん、採血しながら、「昨晩、大量にお酒飲まなかった?」。「いつも通り、ワイン2~3杯とハイボール1~2杯ですけど」(実はもっと飲んでいた)。「今夜から禁酒してね、なるべくだけど。一日、2リットルは水を飲んでね」。

糖質オフを何年も続けてきて、体重は適正体重になったが、食事制限のストレス(?)から、酒の量が増えた。さっそく買ってきた「痛風を治す生活読本」には、こう書かれていた。プリン体を多く含むビールを飲まなくても、アルコールは尿酸の生産を高め、アルコール分解で発生する乳酸が、尿酸の排出を妨げると。やっぱ、これが元凶だったのだ!! 四日後、血液検査の結果発表。みごと高尿酸血症が確定。立派に痛風患者の仲間入りした。

酒量をガクンと落としている私に由香ねぇが悪魔のささやき。「痛風にはストレスが大敵なのよ。酒、やめられないでしょ」。痛風友の会の友人達は、もはや痛風のベテラン。発作の前兆を察知した時や、宴会や飲み会の前にだけ、痛風薬を飲んで、酒を浴びていると。それを聞いて、ちょっとは羽目を外してもいいんだと酒量が増える。二、三日経って、腫れの治った筈のあの右足がジクリジクリと。天罰覿面。いつになったらベテランの域に達するのか。

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