鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ築地の風景

黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2014 20

先日の早朝、築地に出勤途中、勝どき橋の中央で真っ暗闇の河下に向かってカメラをセットする一団達。朝早くから酔狂な野郎達。昼近く、隣のやっちゃんが、「見ろよ、窓から巨大クレーンが見えるから」と叫ぶが、店の裏窓からは何も見えなかった。午後二時過ぎて帰宅途中、勝どき橋に差しかかる。大勢の人が河下を見つめていた。黒ネコもそちらをみると、なんとアーチ型の橋がドーンと架かっている。「何てこった、いつの間に」。朝からの諸々の出来事が、すとーんと納得。  

隅田川の両岸から突き出した橋の根元部分は、すでに完成していたが、中央のアーチ部分が収まると、どんなもんだと言わんばかりの存在感。この橋の右岸は、今も昼夜、人々が働く築地市場の敷地内に接続。移転後には速攻で、市場は道路となる。未だくすぶる市場移転反対派には、「この葵の印籠が見えぬか」と、突きつけられたも同然。財力のある都には、ははーっと、ひれ伏すしかありません。

東京都は、豊洲新市場の土壌汚染対策が終了したと宣言。新市場の起工式も、すでに終了。待ったなしで、新市場完成までスピードアップする。青果、水産、卸部門の他に、今の築地場外市場の賑わいを継承する(横取りしようと)食と観光の拠点「千客万来施設」を計画。ここを運営する民間の業者が、すしざんまいの喜代村と大和ハウスに決定。平成二十八年三月の完成を目指す。

すし、海鮮、乾物、惣菜など市場に関係する専門店を集めた「新場外市場」に約百四十店舗(伏高が移転すれば、ここに収まる)を誘致。一千席のフードコート、イベント広場、調理器具などの販売で、海外からの観光客四百万以上を呼び込もうと。その他、この施設の最上階に二〇二〇年東京五輪の選手村となる晴海地区を一望しながら入浴できる、首都圏最大級の温浴施設と宿泊施設も整備すると、どでかい話になってます。

しかしながら、そんな贅沢な施設に入居すれば家賃がどうなるか? 今まで通りにプロのお客様が来ていただけるのか? ハードルは高いままなのです。伏高の運命やいかに。息を潜めて成り行きを見守るしかありません。

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