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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2011 21

明けましておめでとうございます。本年も宜しく厚誼のほどお願い申し上げます。

 

鳥取に帰省し、正月四日に戻ってきました。東京駅から晴海に戻るタクシーの運転手さんに「ええっ!! よくあんな所へ帰省したねぇ!!」と笑われた。

 

昨年の大晦日、朝七時、のぞみは定刻通り東京駅を出発。見事に晴れ上がった空に、頭に金色の雲を冠った富士山が拝めた。吉兆。岐阜羽島、関ヶ原に近づくとちらちらと雪が舞ってきたが、京都、大阪を過ぎると雪は止んだ。乗換駅の姫路に着き、特急はくとを待つが、二十分遅れて入線してきた。胸騒ぎ。

 

県境に近づくにつれ雪は吹雪と化す。鳥取に入ると、まだ昼近くなのに夕暮れの様な暗さ。視界はゼロに近い。次第に信号待ちの時間が多くなる。ダイヤが乱れ始めた。最後の最後、到着駅の一つ手前の松崎駅で三十分待つ。予定時刻を一時間オーバーして、やっと倉吉着。

 

倉吉駅は改築中で、狭い仮駅舎は迎えの人でごった返す。妹の姿が見えず、携帯電話をかけると外で待っていた。車に向かうが、ズボ、ズボと膝まで埋まる雪で進めない。こんなに積もった雪を見たのは何十年ぶりか。まだ降り続きそうな雪に恐れをなし、外出できなくなるからと、三、四日分の食料を求めスーパーへ。しこたま買い込んで車に戻るが、たったの数分でコートや髪が真っ白くなる。大晦日のこのドカ雪が降る前は、雪らしい雪はなかったらしい。たった一日で!! 車底を擦る轍の雪が、ガーガーと鳴る。ノロノロ運転で親父の家へ。おやじを乗せ、妹宅へ。

 

こたつに飛び込んでテレビニュースを見ると、トップニュースが島根、鳥取の大雪だった。国道九号線で約千台の車が立ち往生している。山陰線も、特急スーパーおきが積雪による倒木で立ち往生、車内に乗客百三十人が取り残されていると。危機一髪で難を逃れた。年越しそばがこたつに運ばれてきた頃には、すでにワインは二本開き、NHKの紅白の歌も遠くに聞こえ、やがて夢の中。

 

翌朝、ドカンと屋根からずり落ちた雪の音で目が覚めた。雪は止み、薄日が差している。早速、おやじと私で玄関前の雪かき。五十センチほど積もった雪にうんざりするが、意外と水分は少なく柔らかく仕事ははかどる。 予定していた白兎神社の初詣は諦め。三日間引き籠もる。

 

帰りのスーパーはくとは、鳥取駅の手前で、宝木~末恒駅間は徐行運転となっておりますの車内アナウンス。線路脇には倒木、伐採された枝が延々と続く。不安的中、姫路駅に三十分遅れで着く。予約してたのぞみは十分前に。後続ののぞみは、すべて指定席満員、自由席は超満席と告げられ、デッキに二時間立ち続けた。

 

東京駅で、指定席料金三千二百三十円を払い戻す。自棄のやん八で、その払い戻し金を大丸地下に下り、ウイスキー「山崎」と取り換える。ワインは飲み飽きたから。

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