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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2009 24

先月の読売新聞にこんな記事があった。『新橋の九州郷土料理店「有薫酒蔵」が、22年前から客の出身校別のノートを置くようになり、計850冊を超えた。客たちが近況や青春の思い出を書き込んだノートを肴に、店内の会話も弾む』。

 

「有薫」さんは伏高のお客様ではないのだが、隣の伊勢龍さんのお得意様で、よく耳にしていた。自分の出身校の有無は「有薫」のホームページで検索できるとある。早速、我が母校、倉吉東高校のノートがあるか調べると、ありました。690番目に。それじゃ行かない訳には。

 

JR新橋駅から外堀通りを虎ノ門に向かって数分、りそな銀行の地下一階にある。木・金予約要とホームページにあったので、五時開店直後ならと急ぐと一番乗りだった。入ったとたん、両脇の棚にノートがズラリ。こざっぱりした居酒屋さんといった造り。

 

木のテーブルの上には「九重」と書かれた厚い木の札。写真付きのメニュー、そして高校ノートの書かれた冊子。ビールと料理を注文して、さっそくノートをめくる。注意書きに続いて高校名が延々と続く。926校まであった。

 

馬刺、ガメ煮、イカ刺、平政刺をつまむと、入り口近くの棚へ。「番号は県別、五十音別で調べられますから」と帳場の女性のアドバイス。「はい、判ってます」と690番のノートを持って席に戻る。

 

わくわくしながら開くと、まず六十歳の先輩が、同期生の有名人のサックス奏者のマルタとの思い出にふれ、倉東健児よ私に続けとある。次が弁護士の方、そして又、ノートを始めた人。そこで終わっている。えっ!! たったの二名かよ!! と拍子抜けした。

 

いつの間にか家のやつ、自分の母校、湘南高校のノートを読んでいる。「三十三名も書いているけど、ノートに貼ってある名刺は、一流企業や社長とかばっかりね」と不服そう。「勝ち組ばっかりかよ」と黒ネコもわざわざ来たことを後悔し結めた。そして有楽町のガード下のやきトン「登運トン」で憂さ晴らしでもと飲んだ。でも今日のやきトンはいつもの様にうまくなかった。

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