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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2016 11 25

十月二十一日、築地の店のシャッターを閉めて、帰宅。家のドアを開けるなり、「鳥取が大変な事になっている」。テレビの画面には、揺れ動く倉吉の町の姿が。震度六弱の地震が襲った。九月中旬に帰省したばかりなのに。まさか、まさかだった。  

慌てて携帯電話を探すが、電池切れ。そうだ、先月の帰省の折、充電器を忘れたのを思い出す。すわ一大事と近くのトリトンの他社ソフトバンクの店に駆け込む。事情を話し、充電を請うが、黒ネコの携帯はかなりの旧式で、断られる。じゃスマホを買おうと言うと、ドコモからの変更は、かなりの時間と書類が、やってられない。どうすればと気色ばむと、コンビニに充電器を売っていると。近くのコンビニに。店員、黒ネコの携帯を見て、「スマホの充電器は有りますが、この手の年代物は有りません」と馬鹿にした顔。「スマホじゃなきゃ時代遅れなのか、この野郎!!」と思ったが我慢。仕方なく、この携帯を買った築地のドコモ店へ、がむしゃらに自転車のペダルを踏む。

店に着き、充電をお願いしますと渡すと、五十は並ぶ充電器の棚で充電開始。「ところで、この携帯の充電器買えます」と訊くと、「有ります」。九百円の消費税でゲット。早速、鳥取へ電話。「本人にはつながりません」との音声。やっと繋がる。「隣の家の屋根瓦が落下して、ブルーシートを掛けるのを手伝ったの」。「自分の家は?」。「瓦屋さんがよかったのかしら、大丈夫」。下の妹の家と、右隣のスレート屋根の家は無事。集落のほとんどがブルーシート状態だらけらしい。 初日は余震がひどく、羽合(ハワイ)町のアロハホールの避難所で一泊。倉吉市内は八割が木造家屋。倉吉市役所の周辺が特に被害が集中して、柿色の雲州瓦の家並みがブルーシートだらけ。観光名所の白壁土蔵群の白壁もドサッと落ちた。」上の妹の家は、棚から何か一つ落ちただけ。ただ倉吉市内の持ちビルの一階ファサードの柱が一本倒壊。地震保険に入ってたので、「今、その写真を撮ってるところだけえ」、抜け目ない。オヤジの養護施設も堅牢な構造で被害なし。妹達が訪れると、「ちょとゆれとったがなあー」とどこ吹く風。ひと安心。菩提寺の大岳院の墓は倒壊で立ち入り禁止なのに、我家の祖先墓はずれただけ。不謹慎ながら、ホッとした。墓の建て替えで百万円は吹っ飛ぶ。

下の妹の家、申し訳ないほどラッキーだったが、家の中は、ぐちゃぐちゃ。壊れた食器など諸々を臨時ゴミ捨て場へ。ゴミの山だったらしい。隣の瓦のがれきは、もっと凄まじいと。地震発生から一週間以上過ぎ、下の妹は自宅の二階で寝泊まり。布団に入る前に、夫婦でビールを一気飲みするとか。余震は続き、ああ、これは震度一かな、震度二かな、震度三かなと当てられるとか。慣れても、熊本地震の本震が頭から離れないそうだ。 十月最後の日曜日、新橋の「とっとりおかやま館」に行って、地震で落下して傷ありの梨を買うつもりだったが、前日に完売。地震で白、赤ワインのボトルが壊れ、床がロゼワインの池となった北条ワイナリー。赤は欠品してたので、白ワイン2本ゲット。皆さん頑張って下さい。

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