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黒川 春男

築地の風景

by 築地本店店長、黒川春男

2012 10 19

毎日、昼時、築地の伏高に立ち寄る、新富町の割烹店主。先月中頃に暗い顔を して来店。「嫌になっちゃうよ」、聞けば、取引先の場内仲卸の魚屋さんが店仕舞いをするとか。

 

白身魚をすべて任せていたのに、突然廃業。一億円の負債。中小企業に一億は巨額。持ってる資産をすべて売却して、とうとう底が突いたらしい。数年前、そっと奥さんから悩みを打ち明けられ、深手を負う前にやめたらと助言したが、その店の主人は諦めきれなかったとか。週明けには店仕舞いと帳場で泣く奥さん。もらい泣きしたそうで、店を去り伏高へ。 

 

昼近くまで店を開けて、仕入れ魚を用意してくれていたその店がなくなり、それからは、午前中早く市場に来て、魚を探し歩くことに。とは言っても、その店主、九月いっぱいで店をしめる。三十年近く、価格表なし、メニューなし。席に着けば次々と料理が出て来る。客に合わせて場違いな料理も出て来る。隠れ家割烹は、営業はうまくいっていたのだが、一階に店がある、そのマンションが問題だったのだ。

 

地下の上下水道のパイプが、先の地震の影響なのか亀裂が入り、地盤の土が流れ出し、スカスカ状態。地盤改良に数億の費用がかかると管理組合が試算。マンション全体の問題なのに、一階住民の自己負担だとの意見も。さらに突然、管理費が五万円に跳ね上がる。やってられないと、店を売ることにした。 

 

売却を近くの不動産屋に任せていたが、梨のつぶて。大手の不動産屋に変えて、やっと商談成立。希望価格より五百万円ダウン。次にでかい地震がくると、そのマンション、とんでもない事になるから、早く売っちまいなと煽り立てた黒ネコも驚く程の即断即決。江戸川区の地主、金持ちはさすがに違う。

 

この物件を買ったのが、老人養護施設に入居中の八十代の老女。ここを画廊にするとか。その息子さんと契約、なにやら訳ありながら、売れてホッとしている。人間ドックに入ってオーバーホールしてから、人形町辺りに、元常連相手に、こじんまりとした店をやりたいと言ってます。昼過ぎの数十分、下ネタ連発のお客様が来なくなるのは淋しい限りですが、またの再会を待ってます!!

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