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鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > 五島手延饂飩の秘密

五島手延饂飩の秘密

 


つい最近、弊店の五島手延饂飩を購入された長崎在住のお客様から、このようなご感想をいただきました。

五島うどんを美味しくいただきました。特に細麺の方が、稲庭うどんのような食感で、きしめんぽい太麺よりも美味しく感じました。

いずれにしても、一般に市販されている五島うどんとは異なっていて、いよいよ困っております。

五島うどんはコシがあって美味しいと言われているのですが、なかなかなく、 今回の方が美味しいと思うのですが、本当に『これが五島うどんだ』と言っても大丈夫なのかと、 まだ迷っております。

うどんとしては美味しいので、そうこだわらなくてもよいとも思うのですが・・・


なかなか鋭いご感想だったので私自身少々驚きまして、早速、五島の浜崎さん(うどんの製造家さん)に電話で報告です。

「いやー、分かる人は分かるのですね」

浜崎さんも驚いた様子でしたが、声は嬉しそうだった。

「『固い』コシと『モチモチ感』のコシの違いがお分かりなんですよ

  浜崎のうどんは正真正銘、五島で作られていると伝えてください
  製法の違いを詳しく説明してもらってもかまいませんから 」


製法の違いを説明すると、ある意味、従来の「五島うどん」を否定してしまう事にもなるので、 私はちょっと気がかりだったのですが・・・

浜崎さんから「本当の事だから、いいじゃないですか」とお墨付きを いただいたので、五島手延饂飩の秘密を説明させていただきます。

一口に言えば、


弊店の五島手延饂飩は、従来の製法を浜崎さんが進化させた結果、 よりモチモチ感があり、そして、小麦の味を100%味わえるうどんに仕上がっているのです。



五島手延饂飩 『手延べ』とは、小麦粉に水を加えて練った生地を細く延ばして麺をつくる技法です。

文章でサラッと書くと簡単だと感じられるかもしれませんが
一朝一夕で習得できる技術ではありません。


途中で切れることなく『ほそーく』そして『ながーく』生地を延ばして、うどんに仕上げるために 様々な工夫がなされています。

古来より、五島では生地に椿油を塗ってから手延べ作業をしておりました。 椿油が生地の乾燥を防いでくれるので、生地が延ばしやすいのです。

こうして出来上がった「五島うどん」は、「地獄炊き」と呼ばれている食べ方で 五島では昔から食されていました。「地獄炊き」とは簡単に言えば「釜揚げうどん」と同じ食べ方です。

五島のうどんの表面の油は、麺を茹でた際に、麺への水(湯)の浸透を防ぎます。 ですから「地獄炊き」の最中も、五島うどんは固さが保たれ、伸びたりしません。

一方、表面の油は欠点も生み出します。

油は麺への水の浸透を防ぐので、食感は固いのですが、モチモチ感がありません。 麺を強く噛むととプッツンと切れてしまいます。素麺も油を塗ってから延ばすので 同じ食感がします。ただ、素麺の場合は、このプッツン感が脳を癒して暑さを忘れさせる 効果があるそうです。

また、油の風味は強いので、小麦の味を打ち負かせてしまいます。 油の酸化が進めば進むほど、油が勝ち、小麦の味そのものが感じられません。



五島の浜崎さん そこで、浜崎さんは考えた。

油を使う五島うどんは「釜揚げうどん」で食べるには適しているが、

「ざるうどん」や「かけうどん」には不向き。

油を使わない五島うどんを何としても作らねば・・・


そこから、浜崎さんの研究が始まりました。試行錯誤の末、出来上がったのが弊店で扱っている 「浜崎さんの五島饂飩」です。

具体的には、

 

  • 中力粉を使う(従来の五島うどんは強力粉で作ります)
  • 小麦粉に混ぜる水の量を増やす
  • 生地を熟成させる時間を長くする

 

こうして、油を使わない、モチモチ感のある、そして、小麦の味を100%味わえる五島うどんが誕生したのです。

今回、このページを書くにあたり、私自身で、あらためて「油を使った五島うどん」と 「浜崎さんの作った五島饂飩」を食べ比べました。

茹でたてを冷水で洗って「もりうどん」で食べたのですが、 浜崎さんの五島饂飩はしっかりと小麦の味がするのですが、 油を使った五島うどんは小麦の味があまり感じられません。

素麺は喉ごしを楽しむ麺ですが、うどんは小麦の味を楽しむ麺ではないでしょうか。

素麺はより細く、そして、よりプッツン感が強い方が喉ごしが良く、爽快感を味わえるので、 油を使うべきだと思います。

一方、うどんはモチモチ感があり、食べたときに小麦の味を堪能できる方が旨いと思うので 油を使わないうどんの方が私はずっと好きです。


弊店は「昔ながらの真っ当な食材」を標榜してはおりますが、 昔のままの製法だけに固執している訳ではございません。

原材料事情や食生活が変われば、それに対応して製法を見直すべきであると 考えております。

鰹節を例に取れば、近海で水揚げされた鰹はかつてに比べ数段鮮度の良い状態で 製造家の手元まで届きます。皮肉な事に、鮮度が良すぎてそのまま加工すると 旨味が少ない鰹節になってしまいます。ですから、製造家は鰹の旨味を引き出すために 故意に鰹を弱らせてから加工を始めています。かつては鰹を弱らせてから切るなんて 考えられませんでした。

五島ではポピュラーな「地獄炊き(釜揚げうどん)」ではありますが、 他の地域では「かけうどん」や「もりうどん」で食される方が大半であると思います。 伝統の技術を継承しながら、そして、それを更に進化させて作られるうどんが、 より多くの方に喜ばれるのであれば、新しい製法のうどんもまた「真っ当な食材」であると確信しております。

油を使った五島うどんを食べて、その風味に違和感を感じられたことがある 方もいらっしゃると思います。

もし、あなた様がそのような経験をお持ちなら、ぜひぜひ、 弊店の五島手延饂飩を お試しください。モチモチ感のある、そして、小麦の味がしっかりと味わえるうどん ですから。