海のだしお試しセット

  • ご利用ガイド
  • プロの料理人の皆さまへ
  • 卸売りをご希望の方へ
  • メルマガ 鰹節屋の小咄

    食材にまつわる面白いお話、レシピの紹介、限定商品のご案内、「聴きだしの会」のご案内など、折にふれメールを差し上げたいと存じます。

    バックナンバーはこちら
  • カタログ請求
  • フェイスブック

鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > 砂糖も鮮度が命だった

砂糖も鮮度が命だった

 

波照間の純黒糖(かちわり)

「日本で一番の黒糖を売りたいんですが・・・」

昨年(2007年)10月、砂糖問屋さんに、こんな相談をしたところ

「最も黒糖らしい黒糖といえば、波照間島の黒糖ですね」

と強く薦められました。

 

波照間島の日本最南端の碑

  波照間島(はてるまじま)は有人島では日本最南端の島。那覇から南西400Kmに位置する八重山諸島、その中心である石垣島から、さらに南西へ63Km、石垣島から1時間船に乗って、ようやく波照間島に到着します。何たって、沖縄本島より台湾の方が近いし、春には十字星が見えるのですから、まさに最南端であります。

 

最南端の断崖

   早速、砂糖問屋さんからいただいた波照間島の黒糖で、昨秋、サーターアンダギー(沖縄のドーナツの様なお菓子)をカミさんに作ってもらったんですが、確かに旨い。実は、私は甘い物がダメというか嫌いなので、羊羹なんぞ30年以上も食べておりません。要するに、砂糖の甘ったるい味が全面に出ている食べ物はダメなんです。

 

   でも、サーターアンダギー、びっくりするほど甘さがまろやかで、すんなり口から喉を通ってしまいました。このまろやかな甘さが黒糖のなせる技。これは丁度、精製塩に比べて、海水を煮詰めて作った塩の方が味がまろやかな事に通じるに違いありません。

 

波照間島 ニシの浜

   こうして、黒糖の実力を舌で実感したのですが・・・ちょっと調べてみると、沖縄では、伊平屋島、粟国島、多良間島、小浜島産、西表島、与那国島、そして波照間島の7カ所で黒糖が作られているではありませんか。すると「なぜ波照間島の黒糖が一番黒糖らしいの?」との疑問が頭に浮かびます。てな訳で、その答えを求めに波照間島に向かったのであります。

 

波照間製糖

   2008年2月6日朝10時、波照間島に到着すると、港で波照間製糖の所長さんが出迎えてくださいました。先ずは工場の事務所で黒糖の作り方について30分ほどのレクチャーを受け、工場見学スタートです。細かく砕いたサトウキビから「圧搾汁」を絞り出し、徐々に煮詰め8〜10時間かけて黒糖を作ります。

 

サトウキビの刈り取りは「ゆいまーる」という合理的なシステムでの共同作業で行われています

   製造ラインを歩きながら、所長さんに質問しました。「やっぱり、サンゴ礁の島で育ったサトウキビにはミネラル分が多く含まれているので、ミネラル分が多い黒糖ができる。だから波照間島の黒糖が一番黒糖らしい黒糖なんですか?」

 

サトウキビをカットしてから搾汁します

   所長さん、真面目で正直な方なんだと思います「ウチの黒糖の品質には自信があります。確かに、波照間の土壌は隆起石灰岩(珊瑚礁岩)だから、キビにミネラルが多いかもしれません。でも、波照間の黒糖が他の島の黒糖より、ミネラルを多く含んでいるなんて明確なデータはないんですよ。第一、小浜も多良間も隆起サンゴ礁の島ですから」との答え。

 

   少々がっかりしていると、所長さん「でも、波照間島の黒糖の品質が高いと明確に言える理由があります。それは、原料となるサトウキビの鮮度が他の島に比べて、確実に高いからなんです。これも農家との緊密な連係プレーのお陰なんですが・・・」と心強い説明をしてくれました。

 

搾汁は釜で徐々に煮詰められます

   サトウキビは刈り取った直後から腐敗が始まり、糖度が下がるんだそうです。搾りたてのサトウキビの汁は緑色なんですが、すぐに灰色に変色してしまうほど、品質が劣化しやすい植物らしい。だから、精糖工場の処理能力を超えてサトウキビを刈り取ってしまうと、サトウキビが数日間放置され、劣化した原料で黒糖を作らざるを得なくなります。でも、波照間では製糖工場と農家がきっちりと話し合い、計画的にサトウキビの刈り取りをするので、基本的には刈り取った当日、遅くても翌日の午前中には黒糖に加工されます。ですから、波照間では高品質の黒糖が安定的に製造されているのです。

 

   この工場と農家の連係プレーは「ゆいまーる」というシステムに支えられています。「ゆいまーる」とは、農作業、家屋建築、冠婚葬祭などについて、お互いの仕事の手伝いをする助け合いのシステムで、かつては沖縄の多くの農村で機能していたのですが、近年は廃れてしまいました。しかし、波照間の「ゆいまーる」はしっかりと機能しており、その上、単純な助け合いではありません。

 

煮詰め終えたら、攪拌しながら冷却します

   単純な助け合いだと、各農家のキビ畑の面積と協同作業をする面積の差や個人の作業能力の違いから、どうしても不公平感が生まれてトラブルが起こりがちになります。その点、波照間の「ゆいまーる」には賃金制が導入され、年齢や個人の能力に合わせた時給が設定され、労働時間(5分単位で記録)に応じて賃金が支払われるので、不公平感によるトラブルも無く、効率的に作業が行われます。結果、サトウキビがスムーズに製糖工場に供給されるのです。

 

出来たてのホヤホヤの黒糖

   かくして新鮮なうちに絞られたサトウキビの「圧搾汁」は、時間をかけて煮詰められ、ペースト状になった段階で、板状にされ、固まれば出来上がりです。今回は特別に、板状にされる直前の出来たてのホヤホヤのペースト状の黒糖を食べさせていただいたのですが・・・これが旨いのなんの、甘さも苦さも控えめで、口溶けも良い。そーうです、カミさんに作ってもらったサーターアンダギーと同じ味でした。生まれて初めて、砂糖をそのまま食べて旨いと感じた瞬間だった。砂糖も出来たてのホヤホヤが一番旨い、まさに「砂糖も鮮度が命」であります。

 

固まった黒糖を機械で割って、一口大にして袋詰めされます

   お菓子のような味がする出来たてホヤホヤの黒砂糖をお届けすることはできませんが、鮮度が高いサトウキビから作られた、柔らかい甘みの中に旨みとコクが詰まっている波照間の純黒糖、ぜひ一度お召し上がり下さい。