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鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > 手搾りだから甘いんです

手搾りだから甘いんです

 

 『ダメ、ダメ、伏高さん、それじゃー力の入れ過ぎなんですよ。もう少し軽く搾ってください。極力、苦みが少ない果汁にしたいじゃないですか。』橙(ダイダイ)を搾るなんて、そんな難しい仕事だと思ってなかったのですが・・・いざ、自分でやってみたら、いきなりダメ出しされてしまいました。

 

橙を手搾りする工場長・・・恥ずかしがり屋の工場長に『顔出しはご勘弁』と懇願されました

 2007年2月6日、山口県は萩市にある(有)いしんフーズさんの工場を訪ねました。目的はただ一つ、橙酢の製造工程の見学です。いしんフーズさんは昨年に出来たばかりの小さい会社。こぢんまりした作業所で、工場長さん自ら橙を手搾りしていました。

 

 搾る仕掛けは単純明快。 搾汁器の中に、橙を挟むように入れて、上から押して搾ります。右下の写真は搾った後の橙です。

 

搾汁器 橙をココに入れる 上から押さえて搾る 搾った後の橙

 

 

果汁を布で漉す

 次に、搾った果汁を布で漉します。ここで、種と繊維質を完全に取り除き、 さらに苦みが少ない果汁に仕上げます。ちなみに、漉しすぎると香りの成分も取り除いてしまうので 布の目が細かければ細かいほど良いわけではないそうです。

 

真空パック

 出来上がった果汁を袋に詰め、真空パック。このままでは酵素の働きで果汁内の糖分がアルコールに変化し炭酸ガスが生成されてしてしまうので、パックした果汁を75℃のお湯に通して、酵素の働きを止めます。

 

 そして、冷凍。『旬凍橙酢』の出来上がりです。

 

 と、ここまでの説明を読むと、「橙酢作りは、そんな難しい作業じゃない」なーんて思いますよね。実は私もそう思っていました。で、実際に搾ってみたら・・・

 

 商売だから、一つの橙からなるべく多くの果汁を搾ったほうが効率的で良いと思うじゃないですか。だから、頑張って搾ったんです。でも、『力をいれて搾れば搾るほど、苦みがでるから品質が落ちてしまう』とダメ出しされてしまった。考えてみると、『苦み走ったポン酢』で食べるしゃぶしゃぶなんて、食べたくもありません。雑味がない素直なポン酢のほうが喜ばれるに違いない。原料となる橙を見極める力も大切ですが、橙酢の製造工程では、とにもかくにも、搾り加減が一番重要なのであります。

 

 バーのカウンターによく置いてあってグレープフルーツなんかを搾るレバー式の絞り器(ジューサー)をご覧になったことはありませんか?工場長さん曰く、「あの類の道具では搾りすぎ」になるそうです。要するに、かなり手加減して搾っているらしい。実際、300mlの旬凍橙酢を1パック作るのに約1.7Kg〜2.0Kgの橙が必要との事でしたから、『旬凍橙酢』はかなり贅沢な橙酢なのであります。

 

 ダメ出しをされながらも、せっかくなので私も橙を20ケほど搾りました。あれこれ考えながらでしたから10分くらいかかりましたが、搾り終わると結構な重労働だと気が付いた。そこで、工場長さんに「1時間にどれくらいの橙を搾るのですか?」と質問しました。すると「80キロぐらいですよ。頑張れば100キロ近く搾れるんですけどね・・・途中、休まないと、とっても体力が続きません。」との答え。橙の個数にして800から1,000個を一時間で搾る計算になります。

 

旬凍橙酢

 『橙を一定の力加減で搾り続ける』口で言うのは簡単ですが、実際に30分も搾れば、私なんかじゃヘトヘトになるに違いない。この仕事(手搾り)には体力だけでなく忍耐力も必要不可欠です。実際問題、いしんフーズさんだって、当初、業界で一般的に使われている『電動搾汁機』を用意したんだそうです。でも、工場長さん、実際にその『電動搾汁機』を使ってみて、出来上がった果汁が気に入りませんでした。雑味がない果汁を搾るには、やはり、手作業が一番、これが工場長さんが出した結論です。

 

 

かくして、工場長さんの体力と忍耐力のお陰で、手搾りによる雑味のない甘い橙酢が作られているのであります。旨い食材の陰に、製造家の努力あり。工場長さん、これからも元気で頑張ってください。