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鰹節の伏高トップページ伏高コラム/レシピ鰹節屋のつぶやき > ツンとしないお酢

ツンとしないお酢、やっと見つけました

 

   今から26年前、生まれて初めて香港に行った時の話です。友人を訪ねるのが本来の目的でしたが、実はそれ以上に本場の中華料理が楽しみでした。

 

   夕方、香港島のホテルに着くと、早速、晩飯を食べに街に出た。どの店に入るべきか全く見当もつきません。まずは『麺』とか『粥』とか書いてある安そうな、そして、地元の人で賑わっているお店に入りました。

 

   その時に何を食べたか、まったく覚えていないのですが、テーブルの上に置いてあるお酢を味見して『まったくツンとしないお酢でビックリした事』だけは、今でもよく覚えています。

 

   後日、そのお酢は香醋であると知るのですが、その時はとにかく『何で日本のお酢はあんなにツンとしているのに、中国のお酢はツンとしてないの?』とひたすら疑問に思うばかり。お土産にお酢を買い込んで東京に帰ったのであります。

 

   『日本にだってツンとしないお酢があるに違いない』とは思うものの、当時は今ほどグルメ情報が氾濫していなかったので、友人・知人に聞いても、誰一人としてお酢について教えてくれませんでした。

 

   それから時は流れ、サラリーマンから鰹節屋に転職してから9年後、やっと通販事業を始める事になりました。ご承知のように、鰹節、昆布、煮干の『海のダシ』からスタートしたのですが、当初から、扱い品目を徐々に増やすつもりでした。実は、その時から扱いたかったのが『ツンとしないお酢』だったのです。

 

   でも、お酢メーカーさんの知り合いはいませんし、ツテを頼ってもお酢屋さんには行き着かない。ただただ願望のまま8年が過ぎ去ってしまった昨年(2006年)4月、一通のメールが私の手元に届きました。

 

はじめまして、弊社は広島の片田舎で井戸を掘り天然地下水で原料にもこだわり、 国産有機JAS米でお酢を主に、飲用酢・調味料を製造販売しております。 もし、ご興味が御座いましたら資料等をお送り致しますが、いかがでしょうか?何卒、宜しくお願い致します。

 

 

伝統的なお酢造りは純米酒造りから始まる。先ずは、白米を研ぎ、蒸します   『念ずれば通ず』と言いますが、返事を出した3日後、広島のセンナリ株式会社さんから届いたお酢を口にすると、まさに『ツンとしないお酢』だったのであります。センナリさんに聞いてみると、昔ながらに手間暇かけて、お米からきちんと造ったお酢はツンとしないとの事でした。

 

次に、もろみを造ります   白米から純米酒を造り、そこに酢酸菌を加えて静置発酵と呼ばれる方法で最低でも3ヶ月はかけて酢にする。これが昔ながらのお酢造りです。しかしながら、戦後、速醸法の研究が進み、アセテーターやキャビテーターと呼ばれる、強制的に酢酸菌の発酵を促す装置が開発され、僅か1週間でお酢が出来上がってしまうようになったのです。短時間でお酢にするので、ツンとしたお酢になってしまうのであります。

 

もろみから純米酒を搾ります   また、現在では、1リットルのお酢に対して40gの米を使っていれば『米酢』と表示して良いルールになっています。ですから、普及品の米酢の原材料表示に米、アルコールと記されています。要するに酒を造る工程すら省いている。

 

純米酒に酢酸菌を加えて、この静置発酵室で、じっくり寝かすのでツンとしないお酢になる   中には原材料が米だけのお酢もありますが、米を粉砕した粉でも米と表示出来るルールになっているので、実際には、昔ながらのお酢とは原料が違う場合が多いらしい。残念ながら、日本のお酢の大半は、製造法も原料も昔ながらのお酢とは段違いです。

 

   本当に昔ながらのお酢を造っている製造家は国内に10軒あるかどうか。お酢の世界でも経済効率が優先され、真っ当なお酢はごく僅かになってしまいました。

 

    さて、私はセンナリさんに取引をお願いすべく、今年(2007年)の1月に広島まで行って参りました。その際、センナリさんの製品を一通り味見させていただいたのですが、中でも『2年熟成の米酢』が群を抜いてまろやかで旨かった。

 

二年熟成のまろやかな米酢   9年間、ずっと思い続けた『ツンとしないお酢』ですから、売るならこの『2年熟成の米酢』と心に決めたのですが・・・簡単にはご了承いただけませんでした。なぜかと言えば、2年も熟成させるが故に生産量に限りがあるからです。

 

   弊店に卸す事で品薄になり、センナリさんの昔からのお客様にご迷惑をかける訳にはまいりません。そこで『センナリさんの判断で、いつ何時、弊店への供給を止めても、一切、文句は言わない』という条件で卸していただける事となった次第です。

   イタリアのバルサミコではありませんが、米酢も寝かせれば寝かせるほど、味はまろやかに、そして、香りはふくよかになります。私が酸っぱいのが好きなせいでしょうか、この2年熟成の米酢であれば、ほんと、そのまま飲めてしまいます。

 

   広島から1本買って帰ってきたのですが、大根おろしにこのお酢と醤油をかけて食べると旨いの旨くないの・・・たまに、家に残っているスーパーで買った酢を使うのですが、あまりの違いに驚かされます。

 

   少々話が長くなり恐縮ではございますが、インターネットのお陰で、センナリさんと出会うことができまして 2007年5月より、『ツンとしないお酢』を販売させていただいています。良質な原材料、昔ながらの製造法、そして2年の歳月が作り上げた『真っ当な米酢』をぜひ一度、ご賞味ください。想像を超える感動が味わえます。

 

築地仲卸 伏高 三代目店主 中野 克彦