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鰹節屋のお雑煮

 

学生時代の友達との飲み会で、ひょうんなことからお雑煮の話になりました。それにしても、世の中には様々なお雑煮があるものです。 出身地が違えば、食べているお雑煮が違うのも当たり前ですが、同じ東京出身でも結構な違いがあります。 まさに「家庭の数だけお雑煮の種類が存在する」と云った感じです。

話しの流れで、「私の家ではこれこれこういうお雑煮を食べていた」と云うと、 みんなに「ふーん、さすがはかつお節屋のお雑煮だ」なんて感心されてしまいました。 私としては子供の頃からずっと、今の今まで、お雑煮と言えばそれだけしか食べていないので、 極めて普通だと思っているのですが・・・


かつお節屋のお雑煮

『お吸い物の中に、焼いた餅、
  ナルト巻、そして、三つ葉
  が入っているだけ』

 

これが母が昔から作っていた、かつお節がとても良く香る、中野家のお雑煮です。

 

かつお節屋のお雑煮ですから、「薩摩産の本節を元旦の朝に削って・・・」なんて言いたいのですが、 残念ながら、削り節でした。なんたって、店の仕事も家の仕事もきちんとこなしていた、忙しい母ですから。 12月は一番の書き入れ時、最後の2週間、店は休みなしにぶっ続けで営業です。 30日に請求書を出し終えて、やっと店の仕事は終了。さすがに、夕食は外食となり、 家に帰ると9時過ぎです。

さて、ここから、母の仕事が再び始まります。今度は家事。翌日の大晦日までに家中を掃除しながら、 おせちの支度も終えねばなりません。休む暇なくフル回転でお正月を迎えます。 亭主(私の父)や倅(私です)は手伝いなんぞは一切しません。

これで、元旦の朝から本節を削れと言っても無理な話です。

普段は荒節の削節を使っている中野家ですが、 お正月は枯節の削節をふんだんに使って濃厚なダシを取ります。 昆布は、一切、使いません。これに醤油、塩、酒で味付けをしてお雑煮の汁を作ります。 早い話がお吸い物。東京ですから、四角い餅を焼き、ナルト巻と一緒に、お椀に入れます。 ここに先ほどの吸い物を注ぎ入れ、三つ葉を散らして出来上がり。まさに、ダシが主役のお雑煮、 味の決め手は濃厚な枯節のダシです。

「かつお節屋のお雑煮」なんて、偉そうに言っていますが、白状しますと、 どうやら母は味付けの最後に「味の素」をひと振りしていたようです。 「味の素」を入れないと一寸だけ物足りないとのこと。お客さんの板前さんにでも教えて 貰ったに違いありません。カミサンにも聞いたら、「私もコッソリ使っている」そうで、 中野家のお雑煮は姑から嫁へ正確に伝承されているようです。

でも、ちょっと情けないので、今年の正月から「味の素」なんぞ、一切、使わない 「正調 かつお節屋のお雑煮」を私が作り、食しております。

「正調 かつお節屋のお雑煮」では、本がえしと塩だけで味をつけます。 「本がえし」とは醤油に味醂と砂糖を溶かし込んだもので、 お蕎麦屋さんの蕎麦つゆのベースになる大変便利な調味料です。
真っ当な枯節であれば、どんなに濃いダシを取っても、雑味は出ません。 その濃厚なダシに本がえしと塩で味を付ければ、物足りないなんてこと絶対にありません。 芳醇な香りの中、ほんのり甘みを感じるお雑煮はまさに「かつお節屋のお雑煮」です。

ご家庭の数だけおいしいお雑煮があります。子供の頃から慣れ親しんだお雑煮が一番旨いに決まっています。 でも、おせち料理に飽きたら、気分転換に、濃厚なダシが決め手の「かつお節屋のお雑煮」を召し上がってみてください。

枯節と本がえし、古の人々が編み出した絶妙の組み合わせが味わえます。

築地仲卸 伏高 三代目店主 中野 克彦

 

 

枯れ節と本がえしがあれば、美味しいお雑煮が簡単に出来あがる

 

鰹荒仕上節の削節   本がえし
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