幻の本職用鰹節削器
『 小椋さん、お客さんの前で見栄え良くかつお節が削れる箱を作ってくれませんか 』
昭和56年春の事です。小椋製作所さん(弊店で扱っている鰹節削器の製造元)の社長さんが
行きつけのお寿司屋さんの旦那にこんな頼み事をされたそうです。
『 社長、見栄え良くってーのは箱だけの話じゃないんですよ。
そりゃーお客さんから見える場所に置いておくんだから、箱の外見も店の雰囲気に合うように仕上げて欲しいけど・・・』
『 なにより、かつお節がヒラヒラと見栄え良く綺麗に削れないと困るんですよ。だから、本職の大工が使うような切れ味抜群のカンナの刃を使って
削り器を作って欲しいんですよ。』
当時(今も同じような状況ですが)、飲食店さん専用の鰹節削器なんて特に製造されていませんでした。
せいぜい大工さんの使うカンナが丁度収まるような大きい箱を特注で作ってもらい、そこに大工用のカンナを
装着して飲食店さんが使っていた程度です。
大工さんのカンナは切れ味が鋭いのですが、それはあくまで木を削るため。
鰹節相手では、残念ながら、その切れ味が充分に発揮できません。
だから、本当の意味でのプロ仕様の削り器は存在していなかった。
価格重視の家庭用鰹節削器ばかり作っていた小椋さんにとって、性能重視の業務用はまったくの別世界。
ですから、お寿司屋さんの願い事は小椋さんにとってすこぶる新鮮でした。
この時、需要が先細る一方の削器市場の将来を危惧していた小椋さんは思ったそうです。
「業界の常識を破る高性能の削器を作れば、新たな需要が掘り起こせるかもしれない」
早速、寿司屋の旦那にも満足してもらえる削り器の構想を練り始めました。
| (1) |
本職の大工用のカンナと同じ鋼を仕入れ、鰹節の特性に合わせて焼き入れ・焼き戻し・研磨等の加工をして
鰹節を削るための特別な刃に作り上げる。 |
| (2) |
カンナ刃を取り付ける台は出来るかぎり大きくして、削りやすい道具にする。 |
| (3) |
家具材を用いて頑丈な外箱を作り、表面は漆で仕上げる。 |
かくして、お客様の前で見栄え良くかつお節が削れる箱「本職用鰹節削器」の構想が出来上がった。
ドラマであれば、その3ヶ月後には「本職用鰹節削器」の第一号が出来上がっているのでしょうが、
現実はそう簡単ではありません。
商売として成立させるには最低でも20〜30台の削器を製造する必要があります。
(お寿司屋さんのために一台だけ作るとなると、とんでもない高い価格になってしまいます)
そこで、小椋の社長さんは取引先の百貨店、金物屋、刃物屋に「本職用鰹節削器」の構想を
持ち込んだのですが・・・反応はサッパリ。
なんせ当時は(今でも似たような状況ですが)家庭用の削器といえば3〜4千円が価格の上限、
その10倍もする本職用削器の引き受け手がなかったのも無理ありません。
半年近く頑張って営業をしたのですが、やはり引き受け手は見つからず、結局は「幻の本職用鰹節削器」となってしまった。
実はこの時、「普及品の5倍くらいの削り器なら売ってみよう」と言ってくれた百貨店さんが
一社だけありまして・・・数ヶ月後に商品化されたのが、従来より弊店で扱っている
「鰹節削器」です。
それから20年が経ちました。
昔から仕事をお願いしている大工の棟梁に、弊店で売っている「鰹節削器」を見てもらった事があります。
やはり私は
鰹節が本職、刃物の善し悪しについて、ホントのところ、私には分かりません。
棟梁曰く、
「かつお節を削るカンナにしたらすごく良いカンナなんだと思いますけど・・・
我々大工が使うカンナと比べると、大したことないですね、正直な話。」
「我々が仕事で使えるカンナは、安くても大工一日分の手間賃くらいするんですよ。だから、カンナに箱まで
ついている削り器で、それも2万円もしないんですから・・・そりゃー、それなりのカンナになちゃいますよ。」
恥ずかしながら、「大工さんのカンナと削り器のカンナに雲泥の差がある」なんて知りませんでした。
早速、小椋さんに電話です。刃物の事、削り器の事を詳しく教えてもらったのです。
その時、話に出たのが例の「幻の本職用鰹節削器」。
物好きな私です、とっさにお願いしてしまいました。
「その本職用の削器、作ってくれませんか?
今の奴の2倍以上の値段になると、さすがに困るけど・・・ホントに削りやすい道具なら、
20台、私が責任をもって引き受けますから。」
最初は色よい返事をいただけなかったのですが、なんとか口説いて、この7月中旬、やっとこさっとこ
本職用鰹節削器が手元に届いたのです。
早速、試し切りをしてビックリ。
ホント、切れ味が違う。片手だけで削っても、シャカシャカと軽快な音がしてヒラヒラの削り節に
なります。それまでは、翌日の筋肉痛を覚悟しながら両手で力一杯削って、やっとヒラヒラに
なっていたのですから・・・まさに、本職のカンナ刃の切れ味を体感した次第。
これだけ削りやすければ、かつお節を削る仕事も楽しくなります。
小椋さんに20台お願いしたのですが、出来上がってきたのは14台だけ。
職人が仕上げた削器の中の6台はどうしても小椋さんの眼鏡にかなわなかったらしい・・・
実はその納品された14台の内の1台は弊店で使っていますので、販売する削器は13台だけです。
そして、その13台をインターネットで販売いたしのが去年(2004年)の8月。
正直な話、¥37,800もする削り器、とっても高価な道具です。売れる自信はありませんでした。
でも驚いた事に、ホンの3時間余りで完売してしまった。
もっとうれしい事に、お買い上げいただいた13名様中8名のお客様から「すこぶる削りやすい」とのご感想を頂戴したのです。
この評判の良さに小椋の社長さんともども大喜び。
「それでは、また、この本職用鰹節削器を作りましょう」と云う事に相成りました。
カンナ刃の産地である新潟で、ご承知の通りの地震がございまして、鍛冶屋さんの工場が被害に遭うなどのアクシデントもございまして、遅くなってしまったのですが、
1月末にやっと30台の『本職用鰹節削器』が出来上がってまいりました。
この『本職用鰹節削器』、定番商品として扱ってまいります。しかしながら、特注品でございますので、
30台ずつの製作となっております。ですから、ご注文が集中した場合は、納品まで時間を頂戴することもございます。そのような場合は、まずご予約を承り、削器が完成次第の納品とさせていただきます。
正直な話、¥37,800もしますから、とっても高価な道具です。
でも、一度、削っていただければその価値をご理解いただけると確信しています。
「かつお節は削りたいけど、毎回、粉々になるんで嫌気がさしてしまった」
こんな思いをされてるのでしたら、ぜひ一度、この本職用鰹節削器で削ってみてください。
かつお節を削る仕事が楽しくなります。
|
| |
築地仲卸 伏高 三代目店主 |
| 追伸 |
自信を持ってお勧めできる削り器ですが、なんせ¥39,900もする道具です。
「本当にシャカシャカと楽に削れるの?」と一抹の不安がおありではないでしょうか?
御心配は無用です・・・この削器で鰹節を削ってご満足頂けなければ返品を承りますので、
安心してご注文ください(ただし、商品到着後10日以内にご連絡ください)。 |
本職用鰹節削器(「押え木」付き)
商品番号:81020
価格 :¥39,900(税込)
付属品として「押え木」が付いています
この「本職用鰹節削器」は特注品でございますので、
18台ずつの製作となっております。ですから、ご注文が集中した場合は、納品まで時間を頂戴する
こともございます。そのような場合は、まずご予約を承り、削器が完成次第の納品とさせていただきます。
なお、ホームページ上では在庫管理を行っておりませんので、
「買い物かごで注文が出来てもすでに売り切れ」という場合もございますので予めご了承ください。
本職用の鋼を使ったカンナ刃だから、半分の力でシャカシャカ削れます
昭和56年、小椋製作所さんが行きつけの寿司屋さんに頼まれ商品化を目指した
「幻の本職用鰹節削器」を再現しました。
『 小椋さん、お客さんの前で見栄え良くかつお節が削れる箱を作ってくれませんか 』
こんなお寿司屋さんの一言をヒントに、それまでの鰹節削器業界の常識を打ち破る「高性能の削器」の商品化を目指した小椋さん
でしたが、当時、小売店さんの協力が得られず幻となってしまった削り器です。
20年後、ひょんな事より、小椋さんよりこの「幻の本職用鰹節削器」の話を聞いた私は、
その高性能な削器の製造を懇願し、やっと作っていただきました。
カンナの刃を調整してお届けしますので、すぐにお使いいただけます。 また、カンナの台の手直しや刃の研磨も弊社にて承ります。
本職用鰹節削器を使えば、面倒くさくて大変だった鰹節削りが楽しい作業になります。
●サイズ:長さ32センチ/幅13センチ/高さ17センチ
|
本職用削器は普通の削器と何がどう違うの?
| 1. |
カンナ刃の素材は「安来鋼 青紙2号」
一般的な刃物(ハサミ、ナイフ、日曜大工のカンナ、鰹節削器等)の素材は「SK鋼」と
呼ばれている鋼を使っています。本職の大工さんが使うカンナ刃の素材が「安来鋼 青紙2号」。
粘りがあり(刃こぼれしない)切れ味がよく、そして、長切れする刃となります。
鰹節を削ることを念頭に、その安来鋼を焼き入れ・焼き戻し・研磨をして鰹節削り専用のカンナ刃に仕上げました。
|
| 2. |
カンナの台は白樫
1年半もの時間をかけて 自然乾燥させた白樫ですから、外気(湿度、温度)の変化に影響されない、安定した(狂いが生じない)台に仕上がります。
削るときに力が入りやすいように、できる限り大きい台にしてあります。この点につきましては、
従来より弊店で扱っている鰹節削器も同仕様です。
|
| 3. |
樺太産のタモ材で外箱を作り、表面の塗り仕上げは拭漆
高級家具材として知られている樺太産のタモ材を使い、頑丈な外箱を組み立てました。表面塗り上げは
日本の伝統技術である「拭漆」で仕上げてありますので、使い込めば込むほど味わいとツヤが
出てきます。なお、付属品の「押え木」も拭漆で仕上げてございます。 |
|
本職用鰹節削器をご注文される前にお読みください
小椋さんが作っている『本職用鰹節削器』は確かに削りやすい道具です。自信を持って申し上げます。
しかしながら、その性能は、お使いになる方が、「鰹節削りに慣れている」事が前提です。
ご感想をお寄せ頂いたお客さまは、皆さま、削り慣れている方々です。削り慣れているからこそ、
この削器の実力を実感して頂けたと思います。
ハッキリ申し上げると、生まれて初めて鰹節を削られる、または、それに近い初心者の方が『本職用鰹節削器』を使われても、思うように削れません。やはり、削る方向、
力の入れ方、姿勢、刃の調整法、等々、基本的な削り方を習得される必要があります。
鰹節の削り方を記したイラストを削り器と一緒にお届けはしますが、それだけで削り方のコツを体得されるのは、現実的には難しいようです。電話での説明もいたしますが、微妙な所を伝える事ができません。やはり、マンツーマンで実際に削りながらの講習が一番です。初心者またはそれに近い方が削器をお買い上げになるのであれば、ぜひぜひ、弊店の店頭で行っている無料の『削り方講習会』にご参加ください。遠方にお住まいの方は、鰹節削りに慣れている方に、実地でご指導いただければと思います。
商人とはして、こんなご託を並べないで、何も言わずに削器を販売した方が良いのかもしれません。でも、私は鰹節を売る事が本職です。せっかく買っていただいた削り器が置物になってしまうのでは寂しいかぎり。やはり、日々、鰹節を削って頂きたいと願っています。
鰹節を削る事はそんなに難しい事ではありません。生まれついての不器用な私でも削れるようになりました。『本職用鰹節削器』のご購入を機会に、基本的な削り方を身につけて、日々、楽しく鰹節を削っていただけることを願っています。 |
本職用鰹節削器(「押え木」付き)
商品番号:81020
価格 :¥39,900(税込)
付属品として「押え木」が付いています
この「本職用鰹節削器」は特注品でございますので、
18台ずつの製作となっております。ですから、ご注文が集中した場合は、納品まで時間を頂戴する
こともございます。そのような場合は、まずご予約を承り、削器が完成次第の納品とさせていただきます。
なお、ホームページ上では在庫管理を行っておりませんので、
「買い物かごで注文が出来てもすでに売り切れ」という場合もございますので予めご了承ください。